2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K08905
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
早川 峰司 北海道大学, 医学研究院, 講師 (10374282)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 播種性血管内凝固症候群 / 凝固活性化 / 線溶亢進 / 鈍的外傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、外傷受傷直後の凝固線溶系の変動を明らかにすることを大きな目的として計画した。その中でも、線溶系の変動、直後の線溶亢進状態から亜急性期の線溶抑制に移行する病態を明らかにすることを研究の中心にしている。具体的には、①血漿中の線溶関連因子の抗原量と活性値の変動、②血小板内のplasmin activator inhibitor-1(PAI-1)抗原量と活性値の変動、③臓器全体としての抗原量と活性値およびmRNAの発現の変動、④トラネキサム酸の影響の評価を検討課題として設定した。 本研究の現在までの進捗状況は大幅に遅れている。 現在までに、本研究で明らかにできた知見は、次のとおりである。①鈍的外傷モデルの重症度の上昇に比例して、クレアチンキナーゼやヌクレオソーム、マイクロパーティクル、組織因子を有したマイクロパーティクルなどの障害細胞由来因子の血漿中濃度上昇を認める。②これらの障害細胞由来因子の濃度は互いに比例しており、特殊な機序で放出されたのではなく、鈍的外力により細胞が破壊されることで受動的に放出されたと推測される。③トロンビン生成試験では、外傷モデルの重症度の上昇に比例して、トロンビンが生成されるまでのタイミングは早くなるが、生成されるトロンビン量は減少する。④トロンビンの基質であるプロトロンビンは外傷モデルの重症度に比例して減少しているが、トロンビンの生成効率は増加しており、重症になれば少ないプロトロンビンから、より多くのトロンビンが生成されてしまう状態となっている。 このように、現在は凝固の活性化の側面の検討にとどまっており、線溶系の評価は予備実験にとどまっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
大きなトラブルは生じていないが、現段階の検討までに、予想以上の労力を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
モデルは確立されており、方向性の変更は必要ない。 本研究に対し、より一層の注力を行う。 本年度中には、下記の①~③までの検討を終了させる予定である。 ①血漿中の線溶関連因子の抗原量と活性値の変動、②血小板内のplasmin activator inhibitor (PAI)抗原量と活性値の変動、③臓器全体としての抗原量と活性値およびmRNAの発現の変動、
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Causes of Carryover |
平成30年度は、研究の中断等はないもののの、計画進行の大幅な遅れの影響があった。実際の実験が研究室の在庫としての試薬などで実施可能であったため資質実績がなかった。 次年度は平成30年度の遅れを取り戻すことにより、研究関連物品の消費も大きくなり、費用もかさむと思われる。
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