2018 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム解析で導出した敗血症重症化因子SVEP1の機能解明と敗血症新規治療への展開
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18K08910
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
栗田 健郎 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (60802569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 孝明 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (20375794)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 敗血症 / SVEP1 / 遺伝子多型 / 血管透過性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 遺伝子多型解析において敗血症の重症化因子として同定された細胞外マトリックス SVEP1の敗血症における機能を明らかにすることである. マウスを用いて敗血症モデルを作成しSVEP1の生体内での動態の評価をすすめてきた. 野生型マウスにおいて, 盲腸結紮穿孔モデル(cecum ligation puncture: CLP)を作成し, コントロールの単開腹モデル(Sham)とCLP 3時間, CLP 6時間のモデルで心臓・肺・肝臓・脾臓・腎臓でのSVEP1の遺伝子発現とタンパク質産生を比較した. 結果, SVEP1遺伝子発現は肺や脾臓で多く(心:肺:肝:脾:腎 , 1.1:47.8:0.2:26.6:2.6), 肺と脾臓において, CLPモデルでSVEP1の遺伝子発現が有意に低下 (肺, 各モデル8匹ずつ, Sham : CLP 3h : CLP 6h, 1.18 : 0.49 : 0.55, p=0.030. 脾, 各モデル8匹ずつ, Sham : CLP 3h : CLP 6h, 1.27 : 0.36 : 0.34, p=0.036 ) することが明らかとなった. またタンパク質産生は, 各モデル3匹ずつの評価で, (肺, 各モデル3匹ずつ, Sham : CLP 3h : CLP 6h, 1.00 : 0.91 : 0.98, p=0.67. 脾, 各モデル3匹ずつ, Sham : CLP 3h : CLP 6h, 1.00 : 0.83 : 1.03, p=0.10 )と, 脾臓で低下する傾向がみられた. ここまでの結果はまだ発表段階に至っていないが, 十分数の評価を行なった上で, 報告を予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を進めるにあたり必要とされる, 安定したCLPモデルの作成手技の確立や, 遺伝子発現の評価のためのqRT-PCR法の手技確立, タンパク賛成の評価のためのウエスタンブロッティング法の手技確立は完了したと考えられる. 計画段階で予定していた実験プラン・スケジュール通りに実験を進めることはできている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として, 遺伝子改変モデルを用いた実験や, 細胞実験を検討している. SVEP1の発現や機能を抑制(もしくは増強)したモデルに敗血症刺激を加え, 野生型と比較しSVEP1の動態の差異や, 生体反応や細胞の反応の差異を評価し, SVEP1の機能解明を深めたいと考えている.
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Causes of Carryover |
本年度中に予定していた実験を全て終えることができなかったため, 引き続き次年度も実験を行う.そのための試薬や機器の購入に充てる予定である.
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