2018 Fiscal Year Research-status Report
網羅的炎症解析による難治性けいれん重積状態の病態解明と新しい診断・治療法の開発
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18K08918
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
永瀬 裕朗 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (80571968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森岡 一朗 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (80437467)
篠原 正和 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (80437483)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 急性脳症 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、既存の症例において、発症(=神経症状出現)からの経過時刻を記録した臨床データベースを用いて、発症から72時間以内の採取時刻が特定できた保存血清を用いてサイトカインの測定を行った。今年度の補助金は主にこのサイトカイン測定費用に充てられた。対象は二相性脳症(AESD)3例、出血性ショック脳症(HSES)3例、熱性けいれん(FS)3例。FSはすべて集中治療を受けたが後遺症なしの症例であった。測定はBio-Plexマルチプレックスイムノアッセイ法で行った。 炎症性サイトカインの代表であるIL-6の結果を示す(単位は全てpg/ml)。発症後72時間以内の検体は9症例で35検体。IL-6のピーク値 (発症後時間)はHSESで3438 (10.3h), 2373 (13.7h), 36 (21.4h)、AESDで359 (4.5h), 154 (6.5h), 19 (2.2h)、FSで1972 (8.8h), 21 (6.3h), 6 (5.3h)であった。初回検体採取時間の平均はAESD群:2.3±1.3h, HSES群:13.6±7.7h, FS群:4.4±2.4h。 IL-6は初回検体の比較ではHSESが高い傾向だが(HSES:965±1240, AESD:91±136, FS:19±11)、発症後6±3hでは一定の傾向を認めず (HSES:485 n=1, AESD:257±144 n=2, FS:666±1130 n=3)、発症後24±4hではHSESが高い傾向であった(HSES:533±830 n=3, AESD:46 n=1, FS:16±0.4 n=2)。 炎症性サイトカインの上昇はHSESなどサイトカインストーム型の急性脳症に特徴的であるとされていたが、最終診断がAESD、FSの症例においても発症24時間以内にダイナミックに変化することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
少数例のパイロット研究で、急性脳症における炎症性サイトカインの時間的変動の幅が明らかになった。測定タイミングが確立したことで、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、今回明らかになった鍵となる測定タイミング(発症6時間、24時間)で採取された多数例の検体を用いて急性脳症の病態、治療、予後とサイトカインの動態、脂質メディエーターの動態との関連を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
サイトカイン測定に伴う試薬、物品費は当初見込んでいたよりも安く利用することができたため、今年度は使用額が少なかった。次年度はより多数の検体を測定する予定があるため、より多くの費用を要する見込みが高い。また、研究打ち合わせや、研究成果発表のための旅費などの費用もより多くを要する可能性があるため。
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