2022 Fiscal Year Research-status Report
心肺停止蘇生後の記憶障害に対するTNF-α阻害薬による治療効果の検討
Project/Area Number |
18K08930
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
若崎 るみ枝 福岡大学, 医学部, 講師 (20461527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山浦 健 九州大学, 医学研究院, 教授 (70264041) [Withdrawn]
根本 隆行 福岡大学, 医学部, 准教授 (90506833)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遅発型細胞死 / 心肺蘇生後臓器障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、心肺停止患者の心肺蘇生率は向上している。一方で、蘇生後の患者は脳症や腎不全などの臓器障害を伴うことが深刻な問題となっている。それらの発症機序は未だ明確でなく、有効な治療法の確立に至っていない。蘇生後脳症の患者の中には記憶障害のみが残存し社会復帰が困難な場合がある。この様な記憶障害を持つ患者数が増加することは、社会的損失となる可能性がある。また腎機能障害も同様であり、特に末期腎不全の場合には社会復帰に大きな障害となる。 本研究では、心肺停止蘇生後の脳および腎機能障害に対する新規治療法の開発を目指すべく、脳・腎臓における蘇生後病態発症機構の分子基盤を明らかにすることを目的としている。 これまでに、虚血による脳症モデルマウスでは海馬領域における遅発型神経細胞死と炎症性細胞であるミクログリアの異常活性化が見出されており、ミクログリア除去マウスでは蘇生後脳症にみられる海馬領域の神経細胞死が有意に抑えらることから、蘇生後脳症によるミクログリアの異常活性が遅発型神経細胞死を誘導している可能性があることを示している。しかしながら、ミクログリアの異常活性化から遅発型細胞死に至る機序は不明であり、未だ詳細な関係性の解明に至っていない。虚血による腎機能障害も同様であり、炎症メカニズムを含む障害メカニズムについて明らかになっていない点が多い。本研究では実施計画に基づき、脳・腎臓において心肺停止蘇生後(各組織虚血再灌流後)の遅発型細胞死のメカニズムを各種遺伝子改変マウスやin vitro実験系などを駆使し明らかにする。 当該年度中(令和4年度)は、昨年度に引き続き、数種の遺伝子改変マウスに腎虚血再灌流処置を施し、急性腎不全(障害)モデルを作製することで、本病態発症(増悪、軽減)に関わる因子の特定を行った。加えて、病態悪化に関わる詳細な分子メカニズム(作用機序)の解明にむけた検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度中(令和4年度)は、昨年度に引き続き、数種の遺伝子改変マウスに腎虚血再灌流処置を施し、急性腎不全(障害)モデルを作製することで、本病態発症(増悪、軽減)に関わる因子を特定し、発症・増悪化に関わる炎症性細胞の患部への浸潤亢進を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、心肺停止時に予想される虚血状況(低酸素状態)を設定し、状況誘発的な病態モデル(脳症・腎不全)を作製することで発症メカニズムの詳細を明らかにすることを目的としている。具体的には、各組織を虚血再灌流状態に曝露することで、病態発症の分子メカニズムを解析する。今後も、数種の遺伝子改変マウスに腎虚血再灌流処置を施し、急性腎不全(障害)モデルを作製することで、本病態発症(増悪、軽減)に関わる因子の特定に加えて、発症に関わる詳細な分子メカニズム(作用機序)を解明し、総括後適時、論文投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
これまでは、概ね予定通りに進行していたが、福岡圏内のコロナ感染拡大の影響により、予定していた実験が行えないなどの理由で進行(論文投稿)が遅れた。今後(使用計画年度中)は、論文投稿に伴う、校閲料、論文投稿料・掲載料、別刷り代(令和4年度に予定していたが令和5年度に持ち越し)に要する金額が発生すると思われる。
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Research Products
(3 results)