2018 Fiscal Year Research-status Report
新規慢性脳虚血および脳血管内皮機能障害モデルの開発と血流再建後過灌流機序の解明
Project/Area Number |
18K08934
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
清水 宏明 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (20506638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新妻 邦泰 東北大学, 医工学研究科, 教授 (10643330)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ラット / 慢性脳虚血 / 再灌流 / 過灌流 / 動脈内皮障害 / エストロゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
雌ラットを用い、両側卵巣摘出によるエストロゲン枯渇と両側腎動脈後枝結紮+食塩負荷による高血圧を惹起し、動脈内皮障害モデルを作成した。1-3週後に総頚動脈を一側は結紮し、他側は29ゲージ針と総頚動脈をいっしょに結紮したのちに針を抜いて高度狭窄とすることで慢性虚血を作成、その3日後に狭窄を解除することで生じる過灌流をlaser speckle flowmetry (LSF)で経時的に観察した。また別のラットでモデル作成の1-3週後、perfusion fixationによりsacrifice、脳を摘出した。 総頚動脈の一側閉塞、一側狭窄を行うと、LSFで両側大脳脳血流低下が確認できた。この状態で麻酔を覚まし、3日待機したあと、再度麻酔を導入、狭窄を解除するとLSFで狭窄側あるいは両側の大脳脳血流上昇が確認できた。血流上昇の程度には個体差が大きく、ラットの一般状態や血圧、内皮障害の程度など複数の要素が関連すると思われ、さらにnを増やして検討中である。 また、摘出脳において脳主幹動脈内皮のeNOSなどを分析する予定である。 安定したモデルが作成できれば、シロスタゾールの効果などの検討に移行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、卵巣摘出や腎動脈結紮のあと、または頚動脈手術のあとに死亡するラットが多く予想より時間がかかっている。また、LSFの観察のために頭蓋骨を異なる日に3-4露出する必要があるが、その間の感染もみられたのが予想外であった。これらも一要因となって過灌流の程度に個体ごとのばらつきが大きくなっていると推測している。
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Strategy for Future Research Activity |
頭蓋骨に感染があると、LSFの評価が困難になるため、観察するタイミングを減らしたり、抗生剤を使用するなどの工夫を行っていく予定である。また、過灌流の程度に個体差があるのはヒト臨床でも同様であるので、実験環境や測定条件を一定にしたうえで、過灌流の程度を内皮障害の程度と関連付けられるよう、LSFのデータと内皮eNOSデータの相関をみることを追加で検討したい。
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Causes of Carryover |
計画がやや遅れていたことから、年度終盤に実験を休止し、それまでの研究全体、とくにモデルの安定した作成方法について見直しを行ったため次年度使用額が生じた。すでに述べたように、頭蓋骨を介したLSFによる脳血流観察回数を減らしたり、抗生剤を使用するなどの改善策をとることとしたので、次年度の実験のなかでラットや実験器具、薬剤などの購入に充てる予定である。
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