2018 Fiscal Year Research-status Report
4次元コンピュータグラフィックスを用いた脳神経外科手術検討法の開発と有用性の検証
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18K08938
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 太一 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90447392)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PC-MRA / 流体解析 / TOF-MRA / 正規化相互情報量法 / 脳血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は予定通りの進捗であった。詳細を下記に述べる。 a)スカラーデータとベクトルデータの準備:当施設の倫理委員会承認下に、健常人のtime-of-flight MRアンギオグラフィー(スカラーデータ)およびphase-contrast MRアンギオグラフィー(ベクトルデータ)をそれぞれ10セット取得した。両者の中心領域の最適閾値を探索し、スカラーデータは50%、ベクトルデータは75%が最適閾値と予測された。 b)レジストレーション:上記a)によって得られたデータを自動でレジストレーションする方法を探索した。具体的には正規化相互情報量法を実施するにあたって、その前処理や初期設定パラメータに調整が必要であることが示唆された。 c)検証:上記a)およびb)によるレジストレーション法を検証した。上記a)の10セットのデータを用いた。①位置合わせをしていない場合、②最適閾値を用いない場合、③提案手法を用いた場合の3群において、スカラーデータとベクトルデータとのレジストレーション誤差を検証した。検証にはtarget registration errorを用い、脳主幹動脈分岐部7箇所のtarget registration errorを測定したところ、各々の誤差は、①2.6mm±0.1mm、②誤差が大きすぎて測定不能、①1.6mm±0.1mmとなり、提案手法が最も精度が高いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、計画書に記載された内容は全て実施した。解析結果も予想された通りであった。 平成30年度は、2回の学会発表の業績結果であり、研究開始初年度としては学術的に研究は充分達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度以降も下記の如く予定通りに研究をすすめる。 2019年度 臨床応用への開発と手法確立、および精度検証 a) 疾患データへの適用:疾患データにおける提案レジストレーション法の精度を検証する。対象は血管構造や血行動態が最も複雑である脳動静脈奇形20例とする。流入動脈と流出静脈の血流方向、血流量を測定し、術中所見を真として検証する。 b) 他の医用画像とのレジストレーション法の開発および検証:脳神経外科手術検討に必要な全ての医用画像から構築された融合3次元画像(3DCG)とベクトルデータとのレジストレーション法を構築する。前処理を独自に工夫した正規化相互情報量とする。独自の工夫とは具体的には、関心領域の設定方法、レジストレーションを行うデータ群の順序化などである。これらの前処理法の最適解を探索し、その精度検証を実施する。 3. 2020年度:臨床的有用性および病態解明への応用:脳動静脈奇形20例を対象に提案手法の臨床的有用性を評価する。提案手法によって流入動脈および流出静脈の血流情報(方向、量、速度)が得られるので、これによる手術検討を行い、その有用性を評価する。手術所見を真とする。また血管内塞栓術前後の脳動静脈奇形のナイダスの血流変化を提案手法を用いて測定し、塞栓術前後の血行動態変化を定量的に可視化する。特に塞栓術後の出血のリスクに関して有益な情報が得られないかに着目する。また、脳腫瘍に関しても提案手法の臨床的有用性を評価する。対象は血管芽細胞腫10例とする。栄養動脈、流出静脈、正常血管に関する血流情報に基づく手術検討を実施する。上記2疾患に対しては、血流情報によって手術検討や手術遂行の精度が向上するのかを評価する。特にこれまでの技術では不可能であった、血流量を重視した手術検討の有用性を見出す。
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Causes of Carryover |
Precision 17 7000 DELLの購入を次年度に持ち越したため。2019年度に購入し、手術室でも画像解析を行う。
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