2019 Fiscal Year Research-status Report
悪性神経膠腫にて活性化するGTP代謝経路を標的とした治療法の開発
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18K08939
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
壽美田 一貴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (70752830)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 悪性神経膠腫 / GTP / IMPDH |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性神経膠腫におけるGuanosine triphosphate(GTP)代謝を標的とした治療について研究を進めている。これまでに申請者は、Phospatidylinositol 5 phosphate 4 kinaseβ(PI5P4Kβ)がGTPを利用して、腫瘍細胞の増殖に影響を及ぼすことを報告してきた。このGTPを脳腫瘍細胞内で減少させることにより、腫瘍増殖抑制効果があることに着目して研究を進めている。昨年度に引き続き細胞株などに対してGTPを減少させる薬剤としてInosine-5’-monophosphate dehydrogenase(IMPDH)の産生を抑制させるMycophenolate mofetil を使用し、細胞の増殖抑制について検討している。これらの増殖抑制は悪性神経膠腫から得られたさまざまな細胞株によって異なった結果が得られている。多くの細胞株ではGTPの産生が抑えられることにより、増殖が抑制されるが、一部の細胞においては増殖抑制効果が少ないことも判明した。この違いを検討するために、それぞれの細胞において網羅的なmRNAの解析を進めている。細胞株による検討を進めると同時に、悪性神経膠腫患者の手術において、ナビゲーションシステムを用いてmethimonine集積部位の検体採取を行っており、その部位の脳腫瘍幹細胞株の作成と、RNAシーケンスを行うための準備を進めている。さらにマウス脳腫瘍モデルを作成するためのluciferaseなどを使用した予備実験を行っており、今後これらのモデルを確立することにより、薬剤の投与方法、投与量なども含め検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞株によるMycophenolate mofetilに対する反応の違いの原因を調べるために、mRNAなどによる網羅的な解析を行っているが、対象となる分子の解析が予定通り進んでいないため今後早急に検討を行っていく。マウス脳腫瘍モデルの予備データは得られているが、実際のマウスモデルの作成は現在中断しており、細胞株による実験と平行して、マウス脳腫瘍モデルにおける検討もcovid19の影響がなくなった時点で行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在GTP量の減少が細胞増殖抑制を起こすことは明確になっているが、これらの機序については不明な点が多い。昨年度からmRNAレベルでの解析を現在すすめており、候補 となる分子も上がっているが、それぞれの分子における詳細な検討において、十分な結果が得られていない。臨床検体の採取は順調に行われており、凍結保存されているが、次年度はこの検体の解析も進めていく。昨年度はマウス脳腫瘍モデルへの効果の検討が、十分に行えなかったため、本年度はマウスモデルのおけるGTP抑制効果の検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
マウスを使用した動物実験などにやや遅れがあり使用額が減少し、次年度使用額が生じた。
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