2019 Fiscal Year Research-status Report
ドラッグリポジショニングを用いた非VEGF経路に対する新規抗血管新生薬開発
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18K08944
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
道上 宏之 岡山大学, 中性子医療研究センター, 准教授 (20572499)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 悪性脳腫瘍 / 抗血管新生療法 / VEGF / 脳腫瘍幹細胞 / 血管内皮細胞 / 薬剤スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
脳腫瘍幹細胞(Brain Tumor Stem Cell:BTSC)を用いた血管内皮細胞分化を行う。BTSCは、外胚葉系に位置する脳腫瘍ヒエラルキー上位に位置する。BTSCは、脳腫瘍へ分化すると同時に、神経細胞マーカを発現する神経系細胞や星状膠細胞マーカーを発現するグリア系細胞へ分化が確認した。また、内皮細胞培養条件へ変化させることにより、中胚葉系の血管内皮細胞へ分化することを確認している。文献的には、同様の血管周皮細胞への分化も報告されている。このことは、BTSC自体が、腫瘍本体の制御だけでなく、腫瘍を栄養する腫瘍血管などの微小環境も支配していることを示唆する。腫瘍血管を攻撃する治療として抗血管新生療法が提唱されており、大腸癌をはじめ数種の癌で効果を上げている。一方、悪性脳腫瘍においては、その効果は麻痺等の症状を改善させるが、予後延長効果は証明できなかった。その治療抵抗性の理由として、我々は、VEGF経路を標的とした現在の抗血管新生療法の回避経路として、BTSCの作る新たなタイプの腫瘍血管形成が重要な役割を果たしていることを証明した。さらに、BTSC由来腫瘍血管に対する、新規の薬剤開発を進めている。腫瘍血管・正常血管の内皮細胞の特徴として、マトリゲル上にて培養を行うと血管腔を模倣したチューブフォーメーション形成がある。このチューブ形成を阻害する薬剤スクリーニングでは、既存薬再開発技術を用い、抗うつ薬を中心に数種類の薬剤を同定した。血管新生増殖抑制についてIC50より効果評価、細胞毒性評価については、今後の動物実験へ向けて問題ない結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトの目標である、チューブフォーメーションアッセイを用いた薬剤のスクリーニングについてはほぼ終了している。既存の抗血管新生薬の抗VEGF抗体やVEGF受容体阻害薬を投与しても腫瘍縮小効果のない、治療抵抗性脳腫瘍モデルの作成に成功している。また、評価目的にて、組織免疫染色や核磁気共鳴装置(MRI)によるイメージング手法の確立は狩猟している。すでに特許申請は終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングにより決定された新規薬剤の抗血管新生メカニズムの検証を行う。既存の抗血管新生薬の多くはVEGF経路を標的としたものであるが、非VEGF経路として、TGFbeta経路、PDGF/PDGFR経路、EGF/EGFR経路、Dll4/NOTCH経路等が報告されているが、これらに対する薬剤開発は進んでいない。今回の薬剤がこれら新規の経路の薬剤となる可能性を証明する。コントロール群と薬剤投与群の間にてマイクロアレイやRNA-seqによる遺伝子解析を行う。脳腫瘍モデルマウスを用いて、現在評価を行っている薬剤でのOS延長効果についての検討を行う。また、マウス脳腫瘍幹細胞およびヒト脳腫瘍幹細胞における評価も行う。
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Causes of Carryover |
2019年度、細胞実験を中心にした薬剤スクリーニングを行った。 また、候補薬剤の毒性試験を中心に行った。 本年度に使用を予定していた試薬等の購入費が当初の見積もりよりも安く購入できたため、全体として本年度の使用額が少なくなった。 2020年度に動物モデルを用いた実験を多く検証しているため、次年度繰り越しして使用予定である。
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Research Products
(8 results)