2018 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病重症度を示す生体指標の確立による脳深部刺激条件最適化方法開発
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18K08956
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
森下 登史 福岡大学, 医学部, 講師 (20750756)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / 脳深部刺激療法 / 脳可塑性 / 光イメージング / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではパーキンソン病患者における脳皮質活動と脳深部活動の関わりを特徴づけ、パーキンソン病の重症度を反映する脳活動バイオマーカーを明らかとすることを目的としている。 2018年度は16症例のパーキンソン病を対象とした脳深部刺激装置植込術を行った。それらの症例において術前後で functional near infrared spectroscopy (fNIRS) を用いた脳皮質活動評価を行った。術前においては抗パーキンソン病薬内服の on と off でも評価を行った。同実験は被験者に十分な説明を行った上で、同意のもと遂行した。fNIRS を用いることで手の開閉運動などの課題遂行時における脳活動状態を経時的に評価することができるが、詳細に関するデータについては現在解析中である。本研究では術前に内服によって症状が改善するメカニズムと手術によって症状が改善するメカニズムの相違についても解析によって明らかにする予定である。今後、電気生理学的な手法とも組み合わせていく。 また、パーキンソン病をはじめとする振戦を有する患者における脳線維束連絡についての研究を行い、報告を行った(Morishita T, et al. J Neurol Sci, 2019)。同研究では、脳深部刺激電極を留置する部位にある脳線維束連絡を描出することで振戦に関与する脳構造を明確にし、手術の確実性を増すことができるとする報告を行った。上述のfNIRSとも組み合わせて研究範囲を拡げる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パーキンソン病対象患者数は順調に予定数に達成しており、fNIRS による脳皮質のデータ収集も予定通りに進行中である。10例以上のパーキンソン病患者から得られた fNIRS データをもとに、手術前後での脳活動状態の変化について現在統計解析処理中である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはfNIRSを用いて得られた既存のデータの解析を本年度中に終了し、論文発表を行う予定である。また、電気生理学的手法を用いた研究についても倫理委員会での承認およびデータ収集を行う。
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Causes of Carryover |
初年度において近赤外光を用いたデータ収集を行っていたが、電気生理学的な手法を用いた研究着手に予定よりも遅れが生じたため、物品費用の一部を持ち越す形となった。本年度では電気生理学的手法を用いた研究を遂行していく。また、国際学会や国際研究会などといったアウトリーチ活動にも費用をあてていく予定である。
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