2020 Fiscal Year Research-status Report
無症候性脳腫瘍のデータベース構築のための基盤的研究
Project/Area Number |
18K08978
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
橋本 直哉 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90315945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 善孝 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (40392344)
立澤 和典 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80347450)
高橋 義信 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90347451)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 無症候性脳腫瘍データベース / オンライン登録(レジストリ) / 髄膜腫 / 聴神経腫瘍 / 下垂体腺腫 / その他の腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳神経外科診療において重要な臨床課題である無症候性脳腫瘍の自然経過と治療適応を明確にする目的で、今後さらに発見の機会が増加すると考えられる髄膜腫/聴神経腫瘍/下垂体腺腫/その他の腫瘍について、より明確で患者に利する治療/追跡の適応ガイドラインの策定を目指し、その基盤となる試験的研究「無症候性脳腫瘍データベースの構築」を行ってきた。 平成30年度から平成31年度(令和元年度)には、本課題の遂行を行う研究体制を構築し、これと並行して、インターネットによる症例のオンライン登録(レジストリ)のため、①髄膜腫、②聴神経腫瘍、③下垂体腺腫、④その他の腫瘍、のそれぞれに調査項目を選定し、これまでの文献の検索と分担査読から最新の情報を盛り込んだそれぞれの腫瘍のオンラインフォームを完成した。 令和元年度から2年度には、症例の集積を行い、データ解析に着手した。集積症例数は、髄膜腫150症例、聴神経腫瘍30症例、下垂体腺腫40例で、それぞれの自然歴の解析を継続している。COVID-19の影響もあり、症例集積状況は想定していたよりやや遅れているが、これまでの髄膜腫と聴神経腫瘍の解析では、観察期間は短いものの、①髄膜腫はこれまでに得られた知見とほぼ同様の自然経過をとる、②聴神経腫瘍は一定の割合で増大しない群と縮小する群がある、ことが判明してきている。観察期間を延ばしつつ、さらに解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、全国悉皆データベースの構築を目標にして、試験的に全国の主要な脳神経外科診療施設における無症候性脳腫瘍データベースの構築を試みた。平成31年度には日本脳神経外科学会の基幹施設とがんセンター脳神経外科のうち、本課題の遂行に賛同する施設を募ったが、無症候性脳腫瘍の追跡を関連病院等に委ねている施設も多く、参加施設は当初の予定より減少した。また、インターネットによるオンライン登録(レジストリ)を行うため、当初から①髄膜腫、②聴神経腫瘍、③下垂体腺腫、④その他の腫瘍、のそれぞれにおいてのオンラインフォームを作成する予定であったが、より学術的、科学的なオンラインフォームを作成するため文献検索から始め、オンラインフォームの完成が予定より遅延し、オンライン登録(レジストリ)システムそのものの構築が遅れた。令和2年度はCOVID-19感染症により研究自体の進捗が遅れ気味であり、症例集積とともに、データ入力を行う人員確保や自動化の策など手立てを講じている。
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Strategy for Future Research Activity |
インターネットによるオンライン登録(レジストリ)を行うための①髄膜腫、②聴神経腫瘍、③下垂体腺腫、④その他の腫瘍、のそれぞれにおいてのオンラインフォームに関しては、入力の途中で明らかになった問題点もあり逐次改訂し、その上でオンライン登録(レジストリ)のシステムを完全なものとした。それを用いて症例の集積とデータ解析作業を継続し、目標症例数は、「その他の脳腫瘍」を除くと、当初の見積もりより少ない髄膜腫300症例、聴神経腫瘍70症例、下垂体腺腫も70症例とする。令和3年度後半までには「腫瘍体積の経時的推移と生長様式」のデータを揃えて、同年度後半にはそれらのデータと臨床情報の関連を詳細に解析する。入力とデータ解析のための人員確保ができたため、今後の研究を迅速化する。それぞれの腫瘍において得られた知見結果を論文化するとともに、学会発表を行っていく。また、日本脳神経外科学会へ学会補助/協力研究として認めていただくよう働きかけ、将来的な全国悉皆データベースの構築の基盤とする。
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Causes of Carryover |
基幹施設では無症候性脳腫瘍の追跡を関連病院等に委ねている施設も多く、当初の予定より参加施設が少なくなったことで症例集積等の研究計画がやや遅れている。これらデータ集積にかかる郵送費、会議費、事務費の未使用額が発生した。また、オンラインフォームの完成が平成31年度にずれこんだことを受けて、インターネットによるオンライン登録(レジストリ)システムそのものの構築が遅れ、研究進捗全体の遅れを生じている。これらのことから、プリンターなど物品の購入が遅れたことも次年度使用額が発生した理由である。 また、令和2年度からは新型コロナ感染症の影響で、学会、研究のためのミーティングをキャンセルすることを余儀なくされ、旅費等の未使用も次年度使用額の発生の一部の要因である。感染状況の推移をみつつ、物品の購入など適正に使用できるように計画する。
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