2021 Fiscal Year Research-status Report
脳虚血再灌流時の内頚静脈血中血管ホルモン動態解析による脳血流自動調節機構の解明
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18K08979
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
吉田 研二 岩手医科大学, 医学部, 特任准教授 (10316367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 邦昭 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00305989) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳血管障害 / 内頸動脈狭窄 / 脳血管反応性 / 過灌流 / 血管ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
血行再建術後の過灌流が、どのような頻度で認知機能障害をもたらすのか、また、なぜ認知機能症障害をもたらすのかについて検討を行った。貧困灌流をしめす虚血性脳血管障害疾患に対する血行再建術として、従来は直接血行再建術が行われていたが、過灌流症候群などによる合併症のため、機能の改善を示さない症例や、過灌流による出血性合併症のため樹徳な状態を引き起こす問題があった。これらは主に周術期から1年の期間による報告であったが、今回我々は、5年の長期にわたるfollow upと評価を行い、直接血行再建術では、改善例が1/3であるが、悪化例が1/3であることを明らかにした。そこで我々は、貧困灌流を示す虚血性脳血管障害疾患に対する血行再建術として間接血行再建術の効果を検討し、間接血行再建術のみの施行が、術後の過灌流をもたらすことなく良好は脳循環と認知機能の改善をもたらすことを明らかとした。 血行再建術後の過灌流がなぜ高次脳機能障害をももたらすかについては、未だ明らかとなっていない。今回我々は前方視研究にて、血行再建術後に過灌流を示した症例では、脳内に新たな微少出血が発生していることを突き止め、さらにこの新規脳内微小出血が、術後認知機能障害に有意に関与していることを明らかとした。 成人の貧困灌流を伴わない虚血性脳血管障害患者に対して、どのような加療を行うかについては明確な指針が示されていない。今回、薬物治療単独群をさらに5年間追跡し、5年間の新規虚血イベントの発生頻度が6%であることを明らかにし、さらに虚血イベントが発生しなかった群では、脳血流の悪化も認知機能の低下も示さないことを明らかにした。 また、貧困灌流を伴わない68例の前向き研究において、64例は新たな虚血イベントを起こさずMRA画像や脳血流検査の悪化も示さなかったこと、虚血イベントを起こした4例にでは、MRA画像上の病態進行を示すことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床例での検討を行い、いくつかの新しい知見を報告したが、本年度もCOVID-19の感染拡大により、感染対策に関わる診療のエフォートが想定外に増加したことと、血液サンプルの解析において、外部委託業者との接触が制限されたことにより具体的な解析計画が滞った。後半になりオンラインでの検討が整備され始めたが、当研究期間について延長せざるを得なくなり、一年間の延長申請を行い受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の感染拡大により、自治体より依頼されていた感染対策事業の整備も令和4年4月に一定の整備が終了し、本年度は研究に用いるエフォートの回復が見込まれる。県内外の人との交流も制限され、血液サンプル解析に関わる外部業者との打合せも院内感染制御の観点から困難となっていたが、本年度はオンラインでのコミュニケーションの普及も整備され検討可能となってきため、サンプル解析を進め脳循環データーや臨床症状との検討を行い最終年度の総括を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は、前年に引き続き症例収集とデーターサンプリングを行うと共に、血液サンプルの解析を行い、結果の解析と総括を行う予定であった。しかしながらCOVID-19の感染拡大により、地域の感染制御体制整備業務や感染者に対する医療業務等といった当初予定していなかった医療業務の増大により、当該研究のエフォートを縮小せざるを得なくなった。また令和3年度は、自治体より新規感染対策施設の整備要請があり、急遽この業務に従事することとなり、さらなる研究エフォートの削減を余儀なくされた。県内外の人との交流も制限され、血液サンプル解析に関わる外部業者との打合せも困難となり、本年度当初はオンラインでのコミュニケーションの普及もまだ広く整備されていない段階であったため、研究の推敲に支障を来した。その後、研究課題の最終年度にあたる今年度中に研究を完了するのは時間的に不可能と判断したため、研究期間を次年度まで伸ばす延長申請を行い受理された。よって、研究費の次年度使用額が生じたものである。令和4年度は、自治体より依頼されていた感染対策事業の整備も令和4年4月に一定の整備が終了し、本年度は研究に用いるエフォートの回復が見込まれるため、従来予定していた検討を進める方針である。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Five-Year Outcomes of Medical Management Alone for Adult Patients with Ischemic Moyamoya Disease without Cerebral Misery Perfusion.2022
Author(s)
Kitakami K, Kubo Y, Yabuki M, Oomori D, Takahashi T, Igarashi S, Fujiwara S, Yoshida K, Kobayashi M, Terasaki K, Ogasawara K.
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Journal Title
Cerebrovasc Dis.
Volume: 51(2)
Pages: 158-164
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Angiographic, Cerebral Hemodynamic, and Cognitive Outcomes of Indirect Revascularization Surgery Alone for Adult Patients With Misery Perfusion due to Ischemic Moyamoya Disease.2021
Author(s)
Kimura K, Kubo Y, Dobashi K, Katakura Y, Chida K, Kobayashi M, Yoshida K, Fujiwara S, Terasaki K, Kawamura T, Ogasawara K.
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Journal Title
Neurosurgery
Volume: 23
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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