2019 Fiscal Year Research-status Report
歯肉上皮下層由来神経幹細胞由来の軸索様神経束の移植による脊髄再生促進
Project/Area Number |
18K08989
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安部 哲哉 筑波大学, 医学医療系, 講師 (00708430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 博 日本歯科大学, 生命歯学部, 客員教授 (30089784)
國府田 正雄 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50361449)
武川 寛樹 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80173558)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 神経幹細胞 / 軸索様神経束 / 脊髄再生 / 神経束移植療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれが歯肉上皮下層由来神経幹細胞より作成した軸索様神経束は、表層を走る血管が確認され、免疫染色でも繊維方向に沿って走行する神経線維とともに毛細血管網が神経束内に非常によく形成されている特徴が認められた。脊髄損傷モデル動物へ実際に移植する移植神経束は、作成した軸索様神経束をさらに束ねて太い神経束として作成した。 脊髄損傷モデルラットは、移植群、コントロール群ともに免疫抑制剤(シクロスポリンA、デキサメサゾン)を投与して実験を行った。具体的には、移植の24時間前にシクロスポリンAを10mg/kg、デキサメサゾンを0.5mg/kgを投与し、シクロスポリンA は月、水曜に20mg/Kg 、金曜に40mg/Kgを投与し続けた。また最初の週は計3回デキサメサゾン(0.5mg/kg)の投与を併用した。 脊髄損傷モデルラットへの神経束の移植群(n=5)は、6週で両下肢麻痺の改善(BBBスコアが平均0から6)を認めたことから、本研究の軸索様神経束は、脊髄損傷モデルラットに対する組織移植実験において、生着性能と機能性の獲得を期待し得ることが示唆された。結果の有意性を統計学的に確認するために移植群とコントロール群を増やす予定である。さらに、軸索様神経束移植により後肢機能回復が得られたラットの一部に対して、移植片部分の再切断を行い、再切断にて回復した機能が失われることを確認し、機能回復が移植片内を通る軸索再生によることの裏付けとする。 また、移植後6週の行動学的評価を行った後にラットを安楽死させて灌流固定した後に、脊髄をグラフトを含めて摘出して組織標本を作成し、組織学的・免疫組織学的評価を行う。これらの観察等により、移植片の生着性、移植片と脊髄の連続性、軸索再生の評価を行う。 本研究課題は、従来の細胞移植と臓器・組織移植の中間と言える位置づけの新たな移植療法を創出し得る可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脊髄損傷モデルラットは、移植群、コントロール群ともに免疫抑制剤(シクロスポリンA、デキサメサゾン)を投与して実験を行った。具体的には、移植の24時間前にシクロスポリンAを10mg/kg、デキサメサゾンを0.5mg/kgを投与し、シクロスポリンA は月、水曜に20mg/Kg 、金曜に40mg/Kgを投与し続けた。また最初の週は計3回デキサメサゾン(0.5mg/kg)の投与を併用した。 脊髄損傷モデルラットへの神経束の移植群(n=5)は、6週の経過中に両下肢麻痺の改善(BBBスコアが平均0から6)を認めたことから、本研究の軸索様神経束は、脊髄損傷モデルラットに対する組織移植実験において、生着性能と機能性の獲得を期待し得ることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
脊髄完全切断モデルラットの軸索様神経束移植群で両下肢麻痺の改善を認めたことから、脊髄の機能回復が起こっていることが示唆され、結果の有意性を統計学的に確認するために移植群とコントロール群を増やす予定である。 さらに、軸索様神経束移植により後肢機能回復が得られたラットの一部に対して、移植片部分の再切断を行い、再切断にて回復した機能が失われることを確認し、機能回復が移植片内を通る軸索再生によることの裏付けとする。 また、移植後6週の行動学的評価を行った後にラットを安楽死させて灌流固定した後に、脊髄をグラフトを含めて摘出して組織標本を作成し、組織学的・免疫組織学的評価を行う。これらの観察等により、移植片の生着性、移植片と脊髄の連続性、軸索再生の評価を行う。これらは移植群とコントロール群の2群で比較検討する。免疫染色は構成細胞を明らかにするために軸索マーカー (NF200, GAP43, serotoninその他)や、細胞マーカー(MAP2, Olig2, S100, GFAP, P0, MAGなど中枢神経系および末梢神経系のマーカー)の染色を行い、評価する予定である。
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Causes of Carryover |
脊椎損傷モデルラットの6週経過観察群の確立と安定化に時間を要したため、移植した神経束を含めた脊髄を摘出して組織標本を作成し、組織学的・免疫組織学的評価を行うことまで実験を進めることが出来なかった。次年度にこれらの観察を行うことにより、移植片の生着性、移植片と脊髄の連続性、軸索再生の評価を行い、移植群とコントロール群の2群で比較検討する。また軸索マーカー (NF200, GAP43, serotoninその他)や細胞マーカー(MAP2, Olig2, S100, GFAP, P0, MAGなど中枢神経系および末梢神経系のマーカー)の免疫染色を行って、構成細胞を明らかにする計画である。
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