2018 Fiscal Year Research-status Report
非侵襲脳活動計測を用いた一次運動野刺激の疼痛認知抑制機構の解明
Project/Area Number |
18K08993
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
細見 晃一 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (70533800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 洋一 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (20252661)
眞野 智生 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (70778026)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 一次運動野刺激 / 疼痛認知 / 慢性疼痛 / 脳MRI / 経頭蓋磁気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性神経障害性疼痛に対する一次運動野刺激療法(motor cortex stimulation; MCS)の除痛機序については、運動系の活動が疼痛の認知を抑制することが推定されるが、その詳細な脳内機序については不明な点が多い。本研究では、視床痛霊長類モデルおよび中枢性神経障害性疼痛患者を対象として、一次運動野刺激療法による脳内の運動・感覚関連領域の活動の変化を非侵襲的に計測する。 動物実験では、行動評価や脳MRI、経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation; TMS)による一次運動野刺激などの実験条件を検討した。経頭蓋磁気刺激による一次運動野刺激は、患者に対して用いられている刺激条件と同等のものとした。マカクサルを各課題(行動評価、MRI撮影、一次運動野刺激)に馴化させ、モデル作成前の評価を行った。 疼痛患者実験では、中枢性神経障害性疼痛患者37例をリクルートした。中枢性神経障害性疼痛患者に経頭蓋磁気刺激による運動機能マッピング(24例)と皮質興奮性評価(37例)を行い、経頭蓋磁気刺激による一次運動野刺激前後に疼痛の評価(37例)と安静時脳fMRI(14例)を行った。皮質興奮性や運動機能分布の異常と痛みとの関係や一次運動野刺激による疼痛及び脳内変化の関係について検討している。皮質興奮性や運動機能分布が正常に近い患者で痛みが強い傾向が示唆されており、神経障害の可塑的変化が痛みや除痛に関与していることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
動物実験は、行動評価や脳MRI、経頭蓋磁気刺激(TMS)による一次運動野刺激(MCS)などの実験条件を検討した。当初の予定通り、1頭目のマカクサルを各課題に馴化し、行動実験、MRI撮影、経頭蓋磁気刺激を用いた一次運動野刺激を行って、モデル作成前の評価を行った。疼痛患者実験では、当初、中枢性神経障害性疼痛患者10例に評価を行う予定が、TMS運動機能マッピングを24例に皮質興奮性評価を37例に行い、TMS-MCS前後に疼痛の評価を37例に安静時脳fMRIを14例に行った。患者実験でのデータ収集が計画以上に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験は2018年度と同様に、マカクサルの各課題への馴化とモデル作成前の評価を継続する。健常状態で経頭蓋磁気刺激(TMS)による一次運動野刺激(MCS)を実施し、行動評価とマルチモダル脳MRI実施し、TMS-MCSによる行動及び脳内変化を評価する。1頭目のモデル作成前の評価を完了し、視床出血後疼痛モデルを作成する。疼痛モデル作成後、行動実験及び脳MRI、TMS-MCSを行う。並行して2頭目の馴化とモデル作成前評価を行う。 疼痛患者実験は、さらにデータを収集しMCSによる除痛や痛みに特異的な脳内の運動・感覚システムの変化を明らかにする。最終的には、視床痛霊長類モデルで見られたMCSによる脳内活動変化と、疼痛患者で見られた脳内活動変化を比較し、共通する事象と異なる事象も検討する。
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Causes of Carryover |
理由・・・磁気刺激コイルは借用することができ、動物実験と患者実験共に経費が予定より少なく済んだため。 使用計画・・・動物実験や患者実験にかかる消耗品や解析機器の購入や成果発表などに使用する。
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