2018 Fiscal Year Research-status Report
悪性脳腫瘍におけるPDT効果予測ならびに悪性度及び分子生物学的特性予測マップ作成
Project/Area Number |
18K09011
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
池田 直廉 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50434775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 信司 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (20340549)
古瀬 元雅 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (70340560)
野々口 直助 大阪医科大学, 医学部, 講師 (70388263)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 5-アミノレブリン酸 / 光線力学的診断 / 光線力学的治療 / 悪性脳腫瘍 / 外部励起光源 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性脳腫瘍に対するδ-aminolevulinic acid (5-ALA) を用いた光線力学的診断 (photodynamic diagnosis; 以下PDD)併用手術施行症例の術前多種画像および手術摘出サンプルを用いて、既存の多種画像多種パラメーターと組織所見および5- ALAによる蛍光所見言い換えれば5-ALAを用いた光線力学的治療 (photodynamic therapy;以下PDT)効果予測度との相関を見出し、悪性脳腫瘍における5-ALA蛍光、PDT効果予測マップを作成することを目的として研究を開始した。 課題遂行の肝は定位的腫瘍サンプリングによるサンプリング部位の多種画像パラメーター測定であるが、研究に用いたナビゲーションシステムワークステーション内では多種画像パラメーター測定は不可能であるため、他のワークステーションでのパラメーター測定が必要である。本年度中に標本採取座標におけるパラメーター測定のためのアルゴリズムを確立した。本法を用いることで極めて正確なサンプリング部位の多種画像パラメーター測定を可能とした。 さらに、定位的サンプリング時の5-ALAによる蛍光評価を行うにあたり、予定していた客観的蛍光強度測定のみならず、主観的蛍光評価も並行して行なってきたが、この際LED外部励起光源を用いることで蛍光がより判然となることが確認された。特に外部光源を用いた5-ALAによる主観的蛍光評価は5-ALA-PDDを併用した定位的脳腫瘍生検術において極めて有用で、より的確、安全なサンプリングを実現するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は確立した標本採取座標におけるパラメーター測定のためのアルゴリズムを用いて、定位的腫瘍サンプリングと組織の保存および多種画像パラメーター計測を進めた。 しかし、これまで5-ALAによる蛍光の客観的評価のために用いてきた分光蛍光輝度計(スペクトロラディオメーター)が今年度前半に故障し、蛍光輝度測定が不可能となった。本機器の修理をメーカーに依頼し1ヶ月程度の蛍光輝度測定は可能となったが、再度使用不能となり予定していた研究継続が困難となった。よって、蛍光輝度測定が不可能であったため摘出サンプルの4段階の主観的蛍光所見(strong, weak, faint, none)の記録を行い解析に用いることとした。現在蛍光強度と各種画像パラメーターの相関関係については解析中である。 さらに、本研究にエントリーいただいた症例では定位的腫瘍サンプリングと多種画像パラメーター測定のみならず、腫瘍サンプリング時に、通常励起に用いてきた手術顕微鏡内蔵光源だけでなく青色LED外部光源(Esperaluz; CCS社製)を用いた蛍光所見についても記録した。顕微鏡内蔵励起光源により主観的蛍光強度がweak, faintおよびnoneのサンプルで蛍光視認性は飛躍的に改善し、特に定位的脳腫瘍生検においては的確なサンプリングの確認に極めて有用であることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降も、本年度に収集した主観的蛍光強度所見と多種画像パラメーター結果に加えて、本年度構築した画像パラメーター測定のための定位的組織サンプリングアルゴリズムを利用してデータ収集を継続するとともに、組織学的解析を開始する。ただし、より的確な5-ALA蛍光、PDT効果予測マップを作成のためには、4段階の主観的蛍光評価では十分な結果が得られ難いと予測され、主観的蛍光評価は必須であると予測される。よって、来年度初頭に、研究費にて分光蛍光輝度計を再度修理の依頼を行い5-ALAによる客観的蛍光強度測定を再開したい。 さらに、本研究から派生して有用性が見出すことができた、定位的脳腫瘍生検術における外部励起光源の有用性について、本年度前半まで症例数を重ねた上で本年度後半には論文化を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度計上していた予算を次年度に繰り越して、故障した蛍光輝度計の修理およびソフトウェアアップデート、専用コンピューター購入に使用し、客観的蛍光強度測定を再開する予定。さらに、定位的生検用プローベが保険適用外となる開頭手術症例に対して本年度はサンプリングを行う症例が少数にとどまったが、今年度からは積極的に開頭腫瘍摘出術症例においても定位的針生検を行うこととして、次年度予定していた症例数を超えて定位的腫瘍サンプリングを行う予定であるため(大阪医科大学倫理委員会承認済)、保険適用外使用となる定位的生検プローベ購入に当てる。その他消耗品購入、旅費、人件費、謝金、その他については次年度予定研究費により予定通り行う。
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