2019 Fiscal Year Research-status Report
Prevention of Adhesion formation of tendon with Oligo-Tetra-PEG gel
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18K09019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森崎 裕 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30508099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 琢 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30456107)
酒井 崇匡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70456151)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腱 / 癒着 |
Outline of Annual Research Achievements |
腱損傷に対する縫合術は腱癒着や再断裂によって術後成績が悪化しがちであるが、現在も有効な対策はない。本研究では、独自開発した4分枝Polyethylene glycol(PEG) からなるHydrogel(Oligo-Tetra-PEG gel)(Nat Biomed Eng 2017)の技術を応用し、腱の癒着防止剤の開発を目指す。まず生体内でのゲル至適条件を検討後、ラット腱癒着モデルを作成し、in vivoでの癒着予防効果を検証した。また、ゲルを使用することによる腱の治癒過程にも注目し、研究を行った。 初年度ではアキレス腱による評価を行ったが、より臨床に近い実験を行うためにラット屈筋腱モデルを作成した。コントロール群(生理食塩水投与群)では術後3週目の評価にて、周辺組織との癒着が強くみられ、瘢痕組織による治癒がみられた。組織学的にも、腱縫合部にて線維芽細胞の進入が強くみられ、腱内における細胞密度が非常に高い状態であった。また、腱の周囲には明らかな新生血管の増生がみられた。一方、ゲル群では術後3週目においても、ゲルは腱を被覆しており、特にゲルの分解や損壊は見られなかった。縫合腱はゲルに被覆されていることから、周囲のとの癒着は皆無であり、瘢痕組織の進入はみられなかった。組織学的にも、外部からの線維芽細胞の進入はみられず、代わりに腱の表層にある細胞が強く増殖しており、これまで報告されているintrinsic healingによる治癒過程が行っていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
屈筋腱モデルの作成を行った。これにより、屈筋腱の治癒過程を評価でき、ゲルを使用した時の屈筋腱の治癒過程も明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、屈筋腱の治癒過程をさらに明らかにするために、Scx-GFPラットを使用した実験を考えている。また、RNAシークエンスなどで網羅的な遺伝子解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
順調に研究が進んでいるため、必要以上に経費をかけずに済んだ。 次年度は in vivoの解析など、次年度以降の経費がかさむ実験に使用する計画である
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