2018 Fiscal Year Research-status Report
The investigation of the micro RNAs to contribute cartilage repair.
Project/Area Number |
18K09021
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
目良 恒 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任講師 (70650381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 友晴 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (00773607)
谷藤 理 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30748348)
石橋 宰 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (70293214)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 脂肪由来幹細胞 / 軟骨修復・再生 / 組織修復・再生 / マイクロRNA / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
自己修復能が低い関節軟骨組織の損傷治療において、間葉系幹細胞(MSC)治療は詳細な作用機序については明らかになっていないものの、組織修復・再生を促進する治療として期待されている。 申請者は、先行研究において、骨髄細胞由来MSCの軟骨分化度を定量予測するmicroRNA(miRNA)の一つとしてmiR708-5pを抽出した。さらに他のmiRNAの関与も示唆され、本研究課題では、軟骨分化能を規定するそれらmiRNA遺伝子群の絞り込みを行うことを目的とした。 本研究申請時は、MSCの特定細胞群であるMuse細胞の利用を計画していたが実験系が複雑なことから再検討を要し、Muse細胞の利用は保留とした。また使用するMSCの細胞源について、現在、膝関節治療分野で保険外診療による脂肪由来細胞が普及しつつある社会的背景を勘案し、骨髄細胞から脂肪由来幹細胞(ADSC)に変更した。また、miRNAを内包する分泌小胞体であるエクソソームの解析を、核酸医薬・創薬研究の観点から本研究に加えた。 過去の報告および、申請者がこれまで骨髄細胞で行ったbFGF添加による実験と同様に、ADSCでもbFGF添加による細胞の縮小紡錘形への形態的変化が顕微肉眼的に観察された。さらに増殖促進作用についても、bFGF添加による増殖速度は0.35 PD/dで非添加の2-3倍という骨髄細胞とほぼ同等(0.36±0.13 PD/d)の結果を得た。さらに軟骨分化誘導実験でのbFGF添加による未分化能維持を確認した。また、分化誘導前の培養上清をエクソソーム解析用に回収した。今後これら一連の実験を別ドナーで繰り返し行い、軟骨分化度に関連するエクソソームおよびmiRNAの解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究内容について、既に実験を行うための設備は整っていたが、申請者含め実働人員のスケジュール調整などが困難で、研究体制の構築および環境整備に時間を要した。そのような背景の中、Muse細胞を利用した実験系は複雑で現在の研究体制では実現困難であると考え保留した。またADSC利用への変更や、エクソソーム解析の着想など、実現可能性の検討に時間を要した。 ADSCはLONZA社から購入し専用の培地にて培養した。購入時、凍結されたP1の細胞を解凍しT150 フラスコで生着・増殖を確認した後10ng/ml bFGF添加の有無で、さらに細胞を増殖させた。前課題の骨髄細胞由来MSCを用いた実験と同様に、ADSCでもbFGF添加による細胞の縮小紡錘形への形態的変化が顕微肉眼的に観察された。増殖促進作用については、bFGF非添加とbFGF添加による増殖速度はそれぞれ0.14PD/d、0.35 PD/dであり、骨髄細胞の値とほぼ同等だった。また、エクソソーム解析用に、分化誘導前に36時間無血清培地で培養し、その上清を回収・処理後、-80℃で保存した。得られた細胞はペレットカルチャーによる軟骨分化誘導実験に用いた。bFGF添加後のADSCが初期から細胞塊を形成し、未分化能維持が高いことが示唆され、これまでの結果と同様と考えられたが、前課題で観察された細胞塊より小さいものだった。今後、できた細胞塊の組織学的および分子生物学的解析を行う予定である。さらに保存した無血清培地からエクソソームを回収し解析する予定である。 今後これら一連の実験を別ドナーで繰り返し行うが、bFGF添加のタイミングおよび分化誘導前の継代数および無血清培地の暴露時間などに検討を要する可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、細胞増殖からエクソソーム解析用サンプル採取および、その後の軟骨分化能実験をドナー変更の上、繰り返し行う。さらにできた軟骨塊の組織学的および分子生物学的解析を行う予定である。しかし得られた軟骨塊が十分なものでない場合はbFGF添加のタイミングおよび分化誘導前の継代数および無血清培地の培養時間などの検討を行う。また軟骨分化誘導の実験系を、マイクロマスカルチャーに変更し、アルシアンブルー染色およびOD595nmでの比色定量を行うことも検討している。分子生物学的解析にはsox9、2型コラーゲン、アグリカンなどの遺伝子発現量をRT-PCRにて定量解析を行う予定である。 また、エクソソーム解析用サンプルは遠心分離にて余剰細胞を除去したのち、0.2umフィルターに通したのち-80℃で保管してあるが、解析前に解凍し、超遠心機でエクソソームを抽出し、主にエクソソームの内包するmiRNAについて、microarrayシステム(EXIQON社miRCURY LNA miRNA array)で網羅的に解析する。解析には、Targetscan/microT-cDsやmirTarBase/TarBaseなどの公開されたデータベースを用い、標的遺伝子の絞り込みを行うことを検討している。
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Causes of Carryover |
研究体制の構築および環境整備に時間を要し、実験の着手が遅れたため使用金額に差が生じた。さらに細胞源のADSCの入手および、実験系確立に研究費を使用し、遺伝子解析については初年度計画していた予算を本年度使用する計画である。
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Research Products
(3 results)