2019 Fiscal Year Research-status Report
抗菌性と骨形成促進作用を併せ持つ生体活性インプラントの開発
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18K09028
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤林 俊介 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (30362502)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抗菌性 / 骨形成促進 / 骨吸収抑制 / 銀 / ストロンチウム / ガリウム / 黄色ブドウ球菌 / 大腸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
整形外科手術で用いるインプラントの重大な合併症として、「インプラント周囲の感染」と「インプラントの弛みやインプラント周囲の骨脆弱化」がある。本研究の目的は、いずれの問題にも対応しうる抗菌性を有するイオンと骨形成促進作用あるいは骨吸収抑制作用を有するイオンを同時に徐放するバイオ機能を付加したインプラントの開発である。今回、われわれは抗菌性イオンである銀(Ag)イオンと骨形成イオンであるストロンチウム(Sr)イオンを同時に徐放するSr+Ag処理チタンと、抗菌性と骨吸収抑制作用を併せ持つガリウム(Ga)イオンを徐放するGa処理チタンの検証を行っている。 Sr+Ag処理チタンのin vitro実験では、明らかな細胞毒性は認めず、Sr処理チタン単独より高い骨分化促進作用を確認した。また、Sr+Ag処理チタンは未処理チタン、Sr処理チタンと比較して、黄色ブドウ球菌と大腸菌の増殖を抑制する傾向を認めた。Sr+Ag処理チタンのin vivo実験では、未処理チタンと比較して、骨結合性の向上を認めた。 Ga処理チタンのin vitro実験では、明らかな細胞毒性は認めなかった。また、未処理チタンと比較して、黄色ブドウ球菌の増殖を抑制する傾向を認めた。Sr+Ag処理チタンは、未処理チタンと比較して、ラット皮下組織において、黄色ブドウ球菌の増殖を植生する傾向を認めた。またGa処理チタンのin vivo実験では、未処理チタンと比較して、骨結合能の向上を認めた。 今後もSr+Ag処理チタン、Ga処理チタンについて、抗菌性と骨代謝への影響を明らかにするために、in vitro・in vivoともに実験検証を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. Sr+Ag処理チタン:の骨代謝に関するin vitroではマウス骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)を播種、培養した後、生存する細胞数を評価した。XTT試験による細胞増殖評価では、Sr+Agチタンは未処理チタンと比較して明らかな細胞毒性は認めなかった。抗菌性に関するin vitroでは黄色ブドウ球菌、大腸菌を播種、培養して、細菌のコロニー数を評価した。Sr+Ag処理チタンは未処理チタン、Sr処理チタンと比較して、両細菌の増殖を抑制する傾向を認めた。骨代謝に関するin vivoではラットの大腿骨にインプラントを挿入し、力学試験および光学顕微鏡上の組織学的評価を行い、骨結合性を評価した。Sr+Ag処理チタンは、未処理チタンと比較して、力学試験、組織学的評価のいずれにおいても有意に高い骨結合性を示し、Sr単独処理群に対して有意差は認めなかった。抗菌性に関するin vivoではラット背部皮下組織にSr+Ag処理チタンおよび未処理チタンを埋植し、それぞれの材料表面に黄色ブドウ球菌を播種して評価した。Sr+Ag処理チタンは、未処理チタンに対して有意に細菌の増殖を抑制する効果を認めた。 2. Ga処理チタン:骨代謝に関するin vitroでは材料上にMC3T3-E1細胞を播種して評価を行った。XTT試験による細胞増殖評価では、未処理チタンと比較して明らかな細胞毒性は認めなかった。抗菌性に関するin vitroでは黄色ブドウ球菌を播種して評価を行った。未処理チタンと比較して、細菌増殖を抑制する傾向を認めた。骨代謝に関するin vivoではラットの大腿骨にインプラントを挿入後に力学試験によって骨結合性を評価した。未処理チタンと比較して、有意に高い値を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. Sr+Ag処理チタンに関しては、上述の内容について論文を投稿中である。今後本研究をさらに発展させ、Sr+Agチタン処理の骨内での抗菌性を明らかにするため、ラットの長管骨髄腔内に菌液を注入後にインプラントを留置し、評価を行う予定である。 2. Ga処理チタンの骨代謝に関するin vitro実験では、MC3T3-E1細胞を用いた骨形成能評価とマウスマクロファージ様細胞(RAW264.7)を用いた骨吸収抑制能評価を行う予定である。 3. Ga処理チタンの抗菌性に関するin vitro実験では、大腸菌についても材料上に播種して評価を行っている。 4. Ga処理チタンの骨代謝に関するin vivo実験では、回収標本の組織学的調査を行う予定である。
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