2018 Fiscal Year Research-status Report
進化分子工学を用いたリン酸化プルランでの新たな骨移植術の開発
Project/Area Number |
18K09032
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三澤 治夫 岡山大学, 大学病院, 助教 (60448222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩崎 泰之 岡山大学, 大学病院, 助教 (00596041)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リン酸化プルラン / シート / 骨再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、リン酸化プルランのシート状の成形、シート状のリン酸化プルランの骨再生領域における有用性の証明、リン酸化プルランへのヒアルロン酸の添付による骨修復能促進効果の検討である。 本年度の予定していた実験としては、リン酸化プルランの新しい成形法の確立とヒアルロン酸の添加を行うことが中心であった。シート状のリン酸化プルランの成形については、プロトコール通りの方法でシート状の成形が成功しており、安定した成形が可能になりつつある。シート状のリン酸化プルランの使用が可能となってきたため、次のステップとしてヒアルロン酸の添加の実験を開始している。現状で最適な濃度などは結論が出ておらず来年度以降引き続き検討を行う予定である。 次のステップとして動物実験の準備も進めている。動物モデルとして当初はラットの頭蓋冠の骨欠損モデルでの実験を予定していた。このモデルはシート形状の素材の移植実験には適した動物欠損モデルであるが、実臨床での有用性を検討するという点では、頭蓋冠の再生を必要とする病態はまれである事が問題である。より実臨床に近い形の骨再生実験も必要と考えたため、腰椎の後側方固定術モデルでの実験も並行して行う予定とした。現在この2つの動物モデルで、予備実験としてリン酸化プルランシート単体での骨修復の経過を観察している。予備実験の段階ではあるが、比較的良好な骨修復が得られており、来年度は細胞や骨誘導性タンパクを添加し、骨修復力の定量化や比較検討を行う予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒアルロン酸添加実験に関しては、最適濃度の検討が十分に行えていないが、動物モデルの作成についてはやや先行し開始できている。全体的には概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の計画として、ヒアルロン酸の添加を行う事で細胞や局所の骨修復にいかなる影響を及ぼすか検討することを中心に考えている。期間の前半で最適なヒアルロン酸濃度に関するデータが揃うと思われる。数種類の濃度のリン酸化プルランシートを作成し、in vitroでの細胞に対する影響の検討を行う。また、その結果を踏まえ、実際の動物モデルでの骨修復に対する有用性の検討を行う予定である。ヒアルロン酸を添加したリン酸化プルランシートの実験に先行し、ヒアルロン酸の添加なしのリン酸化プルランシートでの動物実験を進め、比較対象としてのデータも十分収集する予定である。予備実験の段階ではあるが骨誘導性のタンパクであるBMPをプルランシートに添付することで、骨修復能の向上が得られていた。骨髄幹細胞などの細胞の添付の実験も予定通り行うが、BMPなどの骨誘導性タンパクの添加を行う実験も併せて行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の支出額が予定より少なかった理由として、試薬などの消耗品の費用が予想よりも少なかった点とヒアルロン酸濃度の測定など外注検査が必要となる実験が次年度に持ち越されていることが挙げられる。特に外注検査は比較的高額であり、頻回な検査は難しいため、十分な検討を行った後に施行予定とした。そのためこれらの予算は次年度に必要となる予算であり、次年度使用額として計上している。
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