2019 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive functional analyses of novel genes involved in bone and cartilage metabolism
Project/Area Number |
18K09035
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
永井 琢哉 宮崎大学, 医学部, 助教 (60768167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
帖佐 悦男 宮崎大学, 医学部, 教授 (00236837)
舩元 太郎 宮崎大学, 医学部, 講師 (20404452)
関本 朝久 宮崎大学, 医学部, 講師 (60305000)
荒木 正健 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 准教授 (80271609)
荒木 喜美 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 教授 (90211705)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | モデルマウス / スクリーニング / EGTC / 骨粗鬆症 / 可変型遺伝子トラップ法 / ロコモティブシンドローム / Lbr遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、骨粗鬆症などのロコモティブシンドロームの病因・病態解明のために、『可変型遺伝子トラップ法』により樹立した変異マウス系統を用いて、骨軟骨代 謝に関与する新規遺伝子探索の効率的なスクリーニングを実施している。我々はそれらトラップクローンデータをデータベース『EGTC』(Database for the Exchangeable Gene Trap Clones, http://egtc.jp) に公開し、骨軟骨代謝に異常をきたす疾患モデルマウスライブラリーを構築中である。現在このEGTCデータ ベースに登録したクローンから、特に骨軟骨にトラップした遺伝子の発現のみられるクローンを選別し、その遺伝子欠損マウスを作製して骨軟骨表現型および遺伝子機能を解析している。1次スクリーニングとして上記データベース上で、今までin vivoで骨軟骨代謝に関する報告のない遺伝子の中で、EST profileやX-gal 染色の結果から骨・骨髄において発現が強いトラップ遺伝子を選出し、ESクローンからヘテロ・ホモマウスを作製した。2次スクリーニングでは成長曲線や大腿骨を用いての3D-CTによる骨形態計測や骨力学試験、血液生化学的検査などを施行した。これまで52のノックアウトマウスラインを解析し、Lima1など42ライン (80.8%)に何らかの表現型異常を認め、現在そのいくつかの有意なラインについて各種組織学的評価や骨軟骨代謝関連の遺伝子発現解析など、より詳細な解析 を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのスクリーニングの結果、42ライン(80.8%)に何らかの骨表現型異常を認めた。その中でさらに効率良く、骨軟骨代謝異常をきたす遺伝子を選別するために、骨形態計測の皮質骨骨塩量と骨力学試験の最大試験力の相関グラフを作成した。その中から骨量減少をきたしたLbr(Lamin B recepter)遺伝子欠損マウスの解析を行った。Lbrは胎児水腫や短肢を特徴とするGreenberg骨異形成症の原因遺伝子ともされている。Lbrトラップマウスは成長障害を認め、発毛の低下、魚鱗癬様の皮膚、骨性の癒合趾が見られた。Greenberg骨異形成症で見られるような明らかな短肢症は観察されなかった。二次スクリーニングの結果ではHomoマウスにおいて、明らかな骨量減少、骨強度低下を呈していた。大腿骨を用いた骨代謝関連遺伝子の発現解析ではBMP2、Runx2、Osterix、アルカリフォスファターゼ、I型コラーゲン、オステオカルシンなど骨芽細胞関連遺伝子の発現が低下していた、一方RANKLやTRAPやNFATc1などの破骨細胞関連遺伝子には明らかな差は認められなかった。初代骨芽細胞培養ではHomoにおいてアルカリフォスファターゼ染色やアリザリンレッド染色での染色性の低下を認めた。以上のことからLbrが骨代謝に影響を与える因子であると考えられ、また多数癒合趾が見られることから、合趾症のモデルマウスとなる可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングの結果、上記Lbr遺伝子以外にも骨軟骨代謝に関与すると考えられるマウスラインを複数保有している。それぞれについて、さらにin vivo/in vitroによる詳細な解析を行い、骨軟骨代謝に関与する新規遺伝子の同定を行う予定である。現在我々は、ロコモティブシンドロームを代表する骨粗鬆症などの病因・病態解明、そして新規創薬の為の未知の標的分子探索の為に、骨軟骨に異常をきたす遺伝子トラップマウスライブラリーを構築している。近年CRISPR/Cas9システムの開発により、ゲノム編集技術は大きく発展したが、この遺伝子トラップ技術の最大の利点は「未知遺伝子の発見および機能解析」にある。我々が開発した可変型遺伝子トラップマウスを用いた骨軟骨に異常を来す新規遺伝子群のスクリーニングシステムは非常に効率的で、このスクリーニングで異常を認めたマウスラインは骨軟骨代謝における重要な遺伝子をトラップしている可能性が非常に高い。今後これらのトラップマウスはバイオリソースとして様々な骨軟骨代謝研究での有効活用が可能で、さらに、我々の対象としている遺伝子は過去にin vivoで骨軟骨代謝に関する十分な報告がない遺伝子ばかりを選別しているため、新たな骨軟骨代謝制御機序を解明できる可能性があり、今後新規骨粗鬆症薬の創薬にも貢献できると考える。
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Research Products
(5 results)