2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of collagen XII regulatory role in osteoarthritis
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18K09042
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
伊豆 弥生 岡山理科大学, 獣医学部, 准教授 (90431949)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 12型コラーゲン / 前十字靭帯断裂 / ウルリッヒ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性関節症は、関節軟骨の変性を主徴とし、疼痛と関節の可動域が減少することで日常動作を低下させることから、超高齢社会において克服すべき喫緊の課題である。 12型コラーゲンは、運動器など力学的負荷が高い部位で発現が高く、ヒトの12型コラーゲン遺伝子変異では、関節の過伸展や拘縮、ならびに筋脆弱症を来すウルリッヒ病やベスレムミオパチーを発症する。12型コラーゲン欠損マウスを作成し、解析を行ったところ、当該マウスでは、関節の拘縮と歩行異常を呈することを明らかにしてきた。しかしながら、関節制御における12型コラーゲンの役割は分かっていない。本研究は、関節における12型コラーゲンの機能を解明するものである。 2018年度の研究では、12型コラーゲン欠損マウスと野生型マウスの関節の組織学的解析を行った。その結果、12型コラーゲン欠損マウスでは、関節軟骨には異常は認められたなかったが、前十字靭帯の自然断裂が起こることが明らかになった。この研究成果により、12型コラーゲンが関節内の靭帯の機能制御に関与していることが示唆された。このため、12型コラーゲン欠損マウスで見られた歩行異常は関節軟骨等の障害ではなく、十字靭帯の損傷によることが明らかとなった。また、これまで前十字靭帯が自然断裂するマウスは発見されていないことから、新たなモデルマウスとしての有用性も期待される。 また、2018年度研究では、CRSPR/Cas9システムによりCol12a1-floxマウスの作成に成功した。2019年度以降は、このマウスを用いて、組織特異的な12型コラーゲンの機能解析を行うことで、さらなる研究の発展を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、12型コラーゲン欠損マウスの関節の組織学的解析を行い、12型コラーゲン欠損が前十字靭帯の自然断裂を誘発することを見出した。この断裂は出生後比較的早期から認められることを明らかにした。これらの結果は、2019年の日本整形外科学会、日本骨代謝学会、American Society for Bone Mineral Researchにて発表を行う予定である。また、共同研究によりCol12a1 floxマウスを作成することに成功しており、コンディショナルノックアウトマウス作成の準備が整えられた。さらに、回転ケージを用いた運動負荷実験を開始していることから、概ね計画通りに進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年に得られた知見から、12型コラーゲンは関節内の靭帯(前十字靭帯、後十字靭帯)で機能していることが示唆された。この知見を踏まえ、腱組織特異的に12型コラーゲンを欠失させたマウスを作成し、関節における12型コラーゲン機能の解明を目指す。
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Research Products
(2 results)