2018 Fiscal Year Research-status Report
キネマティクスによる変形性関節症発生機序の解明と治療デバイス開発
Project/Area Number |
18K09054
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
乾 洋 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60583119)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 寛 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20407951)
冨田 哲也 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (30283766)
武冨 修治 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70570018)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | キネマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の健康寿命延長を図る上で、変形性関節症に伴う運動機能障害の解消は重要な課題の一つである。しかしながら、変形性関節症発生のメカニズムは未だ解明できていない。この問題を解決する一つの方法として、我々は変形性関節症をもたらす疾患や外傷、変形性関節症に対する治療などのキネマティクスをデータベース化することによって変形性関節症の発生機序を解明するというアプローチを考えた。本研究の目的は変形性膝関節症を引き起こす病態、変形性膝関節症に対する治療、正常膝の3次元動態解析を行うことにより、変形性膝関節症発症機序を解明することである。 まず、2D/3Dレジストレーション法を用いて正常膝、変形性膝関節症、靱帯損傷、半月損傷、手術療法(脛骨高位骨切り術、人工膝関節単顆置換術、人工膝関節全置換術)の3次元動態解析を行っている。この解析によって得られたデータについてコンピュータソフトを使用することでデータベース化し、さらに人工知能機能を利用し変形性関節症を引き起こす動態を突き止める。 将来的にはデータベースを利用することにより、3次元動態撮影によって得られたデータを2次元画像へ還元することができるようになると考えている。そのような手法を確立することによって、X線撮影を行うだけで患者各々のキネマティクスを予測し、さらに経時的な関節症変化を推定することが可能になると考えている。また治療についても、患者一人一人が変形性膝関節症に罹患する以前の動きを予め推定し、その動きを再現できるように関節面形状をカスタマイズした人工膝関節の開発に着手したいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2D/3Dレジストレーション法による膝関節3次元動態解析において、正常膝は健常成人ボランティア、変形性膝関節症・靱帯損傷・半月損傷は東京大学及び大阪大学に通院中の患者または手術予定の患者に対して解析を行っている。手術療法も東京大学及び大阪大学それぞれで手術予定の患者を対象としており、解析回数は手術前1ヶ月未満と手術後6か月~1年の計2回としている。延べ人数として予定していた200人に達しようとしているためおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
それぞれのキネマティクスデータを最新のコンピュータソフトを使用することによりデータベース化する。さらに、人工知能(Artificial Intelligence;AI)機能を使用し、それぞれの因子のどのようなキネマティクス変化が変形性膝関節症を惹起しているのか、また、進行させているのかについて解明できるようにする。それに加えて、対象群の性別、年齢、身長、体重などの身体所見もデータベース化及びAIによる解析を行い、変形性膝関節症の性差による発生機序の違い、経時的な変化、体重増減に伴う関節症変化も推定できるようにする。 データ処理を行うハードウェアは東京大学に設置し、東京大学と大阪大学で撮影及び解析したデータを一括管理する。 将来的にはデータベースを利用することにより、3次元動態撮影によって得られたデータを2次元画像へ還元することができるようになると考えている。そのような手法を確立することによって、X線撮影を行うだけで患者各々のキネマティクスを予測し、さらに経時的な関節症変化を推定することが可能になると考えている。また治療についても、患者一人一人が変形性膝関節症に罹患する以前の動きを予め推定し、その動きを再現できるように関節面形状をカスタマイズした人工膝関節の開発に着手したいと考えている。加えて、変形性膝関節症に罹患する以前の動きを再現できるようなアライメントを3次元的に矯正できる(内外反だけでなく回旋も矯正できる)脛骨高位骨切り術用プレートの開発も行いたいと考えている。最終的には股関節、足関節、肘関節の変形性関節症に対する人工関節や脊椎変形に伴う脊柱管狭窄症に対する脊椎固定術などのカスタマイズ化にも応用可能となるように、術前計画ソフトを開発したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
(理由)順調に研究が進んでいるため、必要以上に経費をかけずに済んだ (使用計画)in vivoの解析など、次年度以降の経費のかさむ実験に使用する計画である
|
Research Products
(4 results)