2022 Fiscal Year Annual Research Report
Basic research on therapy of prosthetic joint infection by anti-quorum sensing drugs
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18K09068
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
宮本 比呂志 佐賀大学, 医学部, 教授 (40229894)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バイオフィルム / 人工関節 / 黄色ブドウ球菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工関節感染の原因は,インプラント表面に細菌バイオフィルムが形成されることにある.バイオフィルム形成はインプラント表面への菌の付着が端緒となるので,これを抑制することで人工関節感染を防止できると考えられる.細菌バイオフィルムの菌体外マトリクスは多糖体や細胞外DNA,蛋白質から成るため,これらを分解する薬剤がバイオフィルム阻害剤としてあげられる。ミリセチンが濃度依存的にTi合金の表面で形成されるMRSAバイオフィルム形成を抑制することが明らかになった。そこで、ミリセチンと同様のガロイル基をもつ没食子酸およびそのエステル誘導体のMRSAバイオフィルム形成への影響を検討した。 MRSAのバイオフィルム形成を抑制する効果を定量的に評価するため、ポリスチレンプレート上で24時間、菌を静置培養し、クリスタルバイオレット染色にてバイオフィルム形成量を計測した。その結果、没食子酸はバイオフィルム形成を抑制せず、没食子酸イソアミル・オクチルは菌の増殖を阻害し(殺菌作用)、その結果バイオフィルム形成を抑制した。一方、没食子酸エチルエステルとブチルエステルは菌の増殖を抑制しないが、バイオフィルム形成は特異的に抑制した。そこで、人工関節材料であるTi合金の表面で形成されるMRSAバイオフィルムに対するこれらの薬剤の阻害効果を調べた。その結果、Ti合金表面のMRSAバイオフィルム形成が没食子酸エチルエステルで抑制されることが明らかになった。没食子酸エチルエステルが人工関節表面のMRSA感染を予防または治療できる可能性が in vitro で示された。 そこで、没食子酸エチルエステルがラット皮下に埋設したTi合金表面でのMRSAバイオフィルム形成を阻害できるか調べるため,ルシフェラーゼ遺伝子を導入した黄色ブドウ球菌と in vivo 蛍光・発光システム(IVIS)を使用して動物実験を実施中である。
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