2018 Fiscal Year Research-status Report
実験的脊髄損傷後に生じる脳における可塑性の骨髄間葉系幹細胞による亢進作用の解析
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18K09071
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
長濱 宏史 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (20725676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 淳平 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (00572596)
佐々木 祐典 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20538136)
中崎 公仁 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70722461)
本望 修 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90285007)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神経再生 / 骨髄間葉系幹細胞 / 脊髄損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまでに慢性期脊髄損傷動物モデルに対し、骨髄間葉系幹細胞 (mesenchymal stem cell: MSC)を経静脈的に移植し、運動機能の回復が得られることを報告した (Morita et al., 2016)。移植されたMSCは損傷部位に集積し、損傷局所のsproutingなどを誘導し機能改善に貢献していた。機能回復のメカニズムとして、損傷局所におけるsprouting などのメカニズムのみならず、損傷上位に位置する脊髄および脳において、MSC移植によってplasticityが亢進し、新しい神経回路が構築されると考えている。 さらに我々は、神経損傷動物モデルに対するMSC移植によって運動機能の改善を認めた群を、magnetic resonance imaging (MRI)を用いたdiffusion tensor tractograpy (DTT)による神経軸索イメージングと神経トレーサーによる神経解剖学的解析によって、MSC移植群では描出される神経線維数が、非MSC移植群に比べて有意に多いことを明らかにした。また、MSC移植群において、同部位におけるシナプス数は有意に多かった。これらの結果から、MSC移植によって神経線維が保護・強化されることで神経の可塑性を亢進させ、機能改善に貢献することを明らかにした (Nagahama et al., 2018)。 本研究では、動物モデルを用いて、MSC治療による脊髄損傷後の損傷局所、ならびに損傷上位脊髄および脳におけるplasticityの亢進によってどのように新しい神経回路が再構築され、運動機能の改善に寄与するかについて検討を行っている。以上より、補助金は適切に使用されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、ラットを用いた神経損傷動物モデルにMSCの経静脈的移植を行い、運動機能の改善が得られたラットの神経回路の変化を、magnetic resonance imaging (MRI)を用いたdiffusion tensor tractograpy (DTT)による神経軸索イメージングと神経トレーサーによる神経解剖学的解析による検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット脊髄損傷動物モデルにMSCの経静脈的移植を行い、運動機能の改善が得られた動物の中枢神経系における神経回路の変化を、magnetic resonance imaging (MRI)を用いたdiffusion tensor tractograpy (DTT)による神経軸索イメージングと神経トレーサーによる神経解剖学的方法によって解析を継続して行う予定である。
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Causes of Carryover |
実験に用いる物品費用分であり、次年度以降に使用する。
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