2018 Fiscal Year Research-status Report
半永久電気分極処理生体骨を用いた骨折および骨欠損治療の開発
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18K09075
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小田 良 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80516469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 浩芳 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (90381962)
伊藤 聰一郎 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 非常勤講師 (10242190)
山下 仁大 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (70174670)
土田 真嗣 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10719834)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨移植 / 骨圧電気現象 / 電気分極処理 / 骨欠損 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究にて、われわれは無機結晶成分の電気的特性に着目し、人工骨生体材料の電気分極技術を開発し、電気分極処理人工骨の生体内での骨形成能促進を報告してきた。また、高温処理のため技術上困難であった生体骨に対する電気分極処理についても、常温環境下での手法を確立し、生体骨の電気的特性を担う成分について報告してきた。本研究では、電気分極処理した生体骨の動物モデルへの同種骨移植実験を行い、生体内での骨形成への影響を明らかにすることを目的としている。 2018年度では、創外固定器を用いた小動物の大腿骨全周性欠損モデルを作製から開始した。当教室で既に作製ノウハウのあるマウス左大腿骨欠損モデルで実験を開始したが、移植骨の大きさや形状の問題から分極処理が困難であり、また、移植実験を行う際の創外固定器の固定力不足といった問題があった。先行論文を参考にして動物種をラットに変更することとし、ラット用創外固定器を設計図から低コストで再作製した。創外固定器を用いて、12週齢雄性のSDラット左大腿骨全周性骨欠損モデルを確立した。ラットの大腿骨骨幹部から4mmの移植骨を採取し、採取した移植骨に常温短時間での電気分極処理を行い、骨の荷電を熱刺激脱分極後蓄積電荷量測定で確認した。電気分極処理した移植骨を先述のラット左大腿骨全周性骨欠損モデルに移植し、術後3週時点で単純X線像、μCT、組織標本検査で骨形成や転位の大きさを確認した。 生体骨の荷電では、骨内の無機成分において特に大きな荷電を認めた。単純X線像では早期の仮骨形成を、μCTでは移植骨片の転位抑制傾向を示した。また、組織像においても骨形成が促進される傾向を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたマウスモデルでは分極処理および移植時の骨片の固定性といった問題点ががあり、実験続行は不可能であると判断した。代替案として、ラットの使用を計画し、ラットからの移植骨採取、移植骨への電気分極処理およびその荷電の確認を施行することができた。また、実験モデルとしてもSDラット左大腿骨全周性骨欠損モデルを開発し、当初の予定の範囲内で同種骨移植実験を施行することができた。術後評価についても、単純X線像では分極処理骨移植群で仮骨形成が早期になり、組織像ではVillanueva Goldner染色にて分極処理骨移植群で骨形成が促進される傾向にあることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は同実験モデルでの長期観察群においても、単純X線像、μCT像、組織学的検査を施行し、3週観察群との比較にて移植早期と後期での組織学的所見の変化についても考察し、報告していく予定である。観察予定としては6週、8週、12週などを予定しているが、長期の創外固定ピン留置にともなう感染や個体の局所安静遵守不可能による移植骨の転位への影響についても検討を重ねていく必要があると考える。 また、次年度は3週・6週観察群ともにN数を増やして、データ解析を継続する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度当初、マウス大腿骨全周性骨欠損モデルによる実験を予定していたが、移植骨片の固定性不良および分極処理時の破損率の高さから、余儀なく動物種を変更することとした。ラット大腿骨全周性骨欠損モデルへの変更にあたり、創外固定器の新規作成コストやランニングコスト(創外固定ピンの購入、創外固定器のメンテナンス)、および動物そのものの購入額が増加したたため、前倒し申請を行った。その後、関連施設でのμCT施行が可能となったため外注検査費用のコストカットがk能となり、前倒し申請当初の予定より使用額が減少し、次年度使用額が生じた。次年度使用額は次年度経費とあわせて、主に追加実験用のラット購入に充てる予定である。
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