2020 Fiscal Year Research-status Report
Riluzoleの脊髄損傷治療薬としての作用機序の電気生理学的解明
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18K09077
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
筒井 俊二 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70423960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 亘 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (20453194)
山中 学 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30597084)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リルゾール / 脊髄後角 / パッチクランプ法 / 脊髄保護作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの結果から、筋萎縮性側索硬化症の治療薬Riluzoleが脊髄後角膠様質細胞において興奮性シナプス伝達における作用よりも抑制性シナプス伝達における作用により鎮痛作用を有することが示唆された。そこで本年度も電気生理学的手法で脊髄後角レベルにおけるRiluzoleの鎮痛作用、すなわち膜過分極作用のメカニズムを検討した。5~7週齢の雄性ラットから厚さ約650 μMの脊髄横断スライスを作製しパッチクランプ法を用いて0mVの膜電位固定下で膜電流を記録した。Riluzole (300μM)を5分間単独灌流投与し、膜電流への影響を解析したところ、記録した13細胞のうち8細胞に一過性の外向き電流(> 5 pA)の発生が認められた。この8細胞における外向き電流の振幅の平均値は20.3±3.9pAであった。この一過性の外向き電流はRiluzoleの繰り返し投与によっても観察された。繰り返し投与を行った6細胞において1回目投与時における振幅の平均値は24.0±4.2pAで、2回目投与時は11.8±2.2pAとなり、初回投与時と比較して2回目投与時の振幅の程度は 有意に減少していた。Riluzoleよって誘発される外向き電流は、ナトリウムチャネル遮断薬のTTX(1μM)存在下においても確認された。選択的GABAA受容体拮抗薬ビククリン(20μM)と選択的グリシン受容体拮抗薬ストリキニーネ(2μM)存在下においてRiluzoleによって誘発される外向き電流の発生は完全に抑制された。しかしながらストリキニーネのみを適用した場合は、外向き電流は抑制されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果からRiluzoleが脊髄後角膠様質細胞において興奮性シナプス伝達における作用よりも抑制性シナプス伝達における作用を有することが示唆された。Riluzoleの抑制性シナプス伝達における作用の1つに膜過分極作用があることを確認し、そのメカニズムとしてGABAA受容体の関与を示すことができた。電気生理学的にRiluzoleが脊髄後角レベルにおいて鎮痛作用があることを示唆できた。
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Strategy for Future Research Activity |
Riluzoleが脊髄レベルにおける鎮痛作用を有することを電気生理学的検討より確認できたため、次年度は行動学的検討を用いて多角的にRiluzoleの鎮痛作用や効果を明らかにしていく予定である。また研究成果をまとめ国内外に発表していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果に応じて、国内外での学会等で研究成果を発表・発信する。
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Research Products
(1 results)