2018 Fiscal Year Research-status Report
分子機構と臨床情報の統合型データベースに基づく癌骨転移テーラーメード治療指針策定
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18K09086
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
若尾 典充 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 整形外科部, 整形外科医長 (80528802)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 転移性脊椎腫瘍 / 多変量解析 / 放射線治療効果 / 骨修復剤治療効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は平成30年度研究計画書に沿って転移性骨腫瘍の長期機能予後・生命予後を調査している。これまでデータベースに登録した計211例の転移性脊椎腫瘍患者のうち、治療介入前から介入後6か月以上経過観察が可能であった152例を対象に解析を行った。内訳は肺がん42例、大腸がん28例、乳がん26例、前立腺がん22例、胃がん10例、腎がん8例、甲状腺がん3例、子宮がん3例、卵巣がん3例、悪性リンパ腫3例、膵がん2例、胆のうがん2例であった。骨転移に対する放射線および骨修復薬の治療応答性を解析した。まず目的変数をCT画像上の骨硬化像とし、説明変数は家族歴、既往歴、出身地、嗜好品、職業、運動、画像情報(MRI, CT, PET-CT)、原発癌、組織型、stage、癌治療歴、分子標的薬使用の有無に設定した。多変量解析の結果、放射線治療後の腫瘍縮小に有意に寄与する因子は原発癌(前立腺がん、乳がん、肺がんで腫瘍縮小効果良好。それぞれp<0.05、一方膵癌、胃がん、腎がんの放射線治療後の腫瘍縮小効果は不良)。組織系では優位差なしであった。分子標的薬の使用有無については、場合により放射線治療を優先する場合があったため検討できなかった。骨修復薬の治療効果は、我々がこれまで取り組んできた3次元有限要素解析上の骨強度が上昇するか否かという尺度で判定した。骨強度上昇を目的変数とした多変量解析では、原発癌(乳がん、前立腺がん、肺がんでは骨強度上昇が有意に上昇。それぞれp<0.05。症例数の点で大腸がん・胃がん・膵がん・胆のうがんを消化器がんとまとめると消化器がんは骨強度上昇の阻害因子 HR 2.14, p=0.03)であった。StageⅣは治療効果に負の影響(HR 2.63,p=0.02)を及ぼした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度までの研究データベース構築により、長期予後の追跡は概ね順調に進んだ。しかし、在宅緩和療法を選択した患者さんの転帰を把握することに一定の倫理上の問題が生じ、データベース化にひとつの支障となった。 有限要素解析は医師が日常診療の合間で行うため、律速因子となっていたが大学院生とともに遅延なく行うことができている。 多変量解析については統計アドバイザーの協力のもと、順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の二つ目の柱として今年度検証した治療応答性を合理的に説明できる分子機構の解明を設定している。これは生検検査や手術中に採取した検体を基に染色、PCR、ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリーを取り入れ、治療不応性に関わる分子および遺伝子を検索することである。現在破骨細胞・骨芽細胞・間葉系細胞の様相をデータ化する一方で腫瘍内のMMP-9,IL-11の定量にとりかかる準備を進めているが、サンプル量に限界がある。生検時に適切なサンプリングを心掛け、検体量不足に陥らないようにプロジェクトを進めている。
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Causes of Carryover |
研究施設の異動に伴い、予定していた人件費・物品費を抑制し、次年度に使用する予定とした。
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Research Products
(6 results)