2018 Fiscal Year Research-status Report
神経障害性疼痛と TRP チャネルおよびオキシトシンの関連メカニズムの解明
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18K09087
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
大西 英生 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (20279342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | TRPV1 / 神経障害性疼痛 / 坐骨神経部分結紮 / 視床下部 / 脊髄後角 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、8週齢雄性の野生型マウス(C57BL/6J)およびTransient receptor potential vanilloid (TRPV) 1ノックアウト(KO)マウスを用いて実験を行なった。神経障害性疼痛モデルとして坐骨神経部分結紮モデル(PSL)を使用した。PSLはSeltzerら(1990)の手法に準じ、右大腿後面に皮膚切開を加え、右坐骨神経を露出した後に、6-0絹糸で坐骨神経の1/3~1/2を部分結紮した。対照群は無処置群と偽手術群とし、それぞれn=5~6となるようにマウスを無作為に割り振った。処置前にマウスの表現形としてTRPV1が遺伝子欠損していることを確認するためにカプサイシンテスト(2分間)を行いアイワイプの回数を測定した。その結果、TRPV1KOマウスでは有意に低値だった。また、処置前後の温痛覚閾値を確認するために、処置前、処置後7日ならびに14日にvon Frey テスト、Hot plateテストを行なった。その結果、処置前のHot plateテストでは、TRPV1KOマウスで野生型マウスと比較しWithdrawal latencyが高値を示した。処置後7日、14日のvon Frey テスト、Hot plateテストでは、野生型マウスならびにTRPV1KOマウスのPSL群でそれぞれの対照群と比較しWithdrawal threshold、latencyともに有意に低値だった。しかし、TRPV1KOと野生型マウスのPSL群を比較すると、TRPV1KOマウスで温痛覚閾値が高値を示した。また、処置後15日にマウスを灌流固定して脳および脊髄を採取し、ミクロトームを用いて視床下部視索上核(SON)、室傍核(PVN)および 第5 腰髄(L5)レベルの脊髄後角を含む切片を作成し、今後免疫組織学的染色を行なう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
計画初年度 (平成30年度) は、TRPV1KOマウスだけでなくTRPV4KOマウスならびにTRPV1・4ダブルKOマウスでもPSLを作成し実験をする予定となっていたが、マウスの繁殖等の遅れのためそこまで至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(令和元年度)においては、TRPV1KOマウスの神経障害疼痛モデルの実験を継続し、免疫組織学的染色法やin situハイブリダイゼーション法を用いて、オキシトシンニューロンやバゾプレッシンニューロンの活性動態やmRNAの発現レベルをそれぞれのマウスならびに群間で比較検討を行う。また、TRPV4KOマウスならびにTRPV1・4ダブルKOマウスを用いて同様の実験を行う予定である。本研究の成果は、日本生理学会、日本整形外科学会などの国内学会および国際学会で発表し、国際専門誌に英文論文として発表する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] オキシトシン-mRFP1トランスジェニックラットを用いた神経障害性疼痛モデルにおける中枢神経系生理活性について2018
Author(s)
西村春来, 川﨑展, 元嶋尉士, 鈴木仁士, 大西英生, 吉村充弘, 丸山崇, 齋藤玲子, 上野啓通, 園田里美, 西村和朗, 田中健太郎, 上田陽一, 酒井昭典
Organizer
第40回日本疼痛学会
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