2019 Fiscal Year Research-status Report
神経障害性疼痛と TRP チャネルおよびオキシトシンの関連メカニズムの解明
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18K09087
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
大西 英生 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (20279342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | TRPV1 / 神経障害性疼痛 / 坐骨神経部分結紮 / 視床下部 / 脊髄後角 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度は、8週齢雄性の野生型マウス(C57BL/6J)およびTransient receptor potential vanilloid 1ノックアウト(TRPV1KO)マウスを用いて実験を行なった。右側坐骨神経を部分結紮し神経障害性疼痛モデル群を作成した。また、無処置群、偽手術群を対照群とし、各群間ならびに系統間での比較検討を行なった。処置後15日にマウスを灌流固定し、脳および脊髄を摘出し、ミクロトームを用いて視床下部視索上核(SON)、室傍核(PVN)および第5腰髄(L5)レベルを含む脳ならびに脊髄切片を作成し、免疫組織学的染色(IHC)を行った。まず、脳切片を用いて最初期遺伝子の一つであるFosBとオキシトシン(OXT)もしくはバソプレシン (AVP)に対する二重IHCを行い、SON・PVNにおけるFosB陽性細胞数ならびにFosB陽性細胞のOXTもしくはAVPとの共発現率を計測した。その結果、FosB陽性細胞数は野生型・TRPV1KOマウス共に神経障害性疼痛モデル群のSON・PVNにおいて優位に増加していたが、系統間では有意差を認めなかった。また、FosB陽性細胞のOXTもしくはAVPとの共発現率は各群間・系統間で有意差を認めなかった。続いて、脊髄切片を用いて、FosB、GFAP(アストロサイトの指標)およびIba-1(ミクログリアの指標)に対するIHCを行い、患側脊髄後角I-II層におけるFos B陽性細胞数ならびにGFAPもしくはIba-1陽性細胞のGFP輝度を測定した。結果、FosB陽性細胞数ならびにGFAPもしくはIba-1陽性細胞のGFP輝度は野生型・TRPV1KOマウス共に神経障害性疼痛モデル群で有意に増加しており、Fos B陽性細胞数とGFAP陽性細胞のGFP輝度に関してはTRPV1KOマウスでWTマウスと比較し、有意に低値であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
計画2年度 (平成31/令和元年度) は、TRPV1KOマウスだけでなくTRPV4KOマウスならびにTRPV1・4ダブルKOマウスでもPSLを作成し実験をする予定となっていたが、マウスの繁殖等の遅れのためそこまで至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(令和2年度)においては、TRPV1KOマウスの神経障害疼痛モデルの実験を継続し、day7のタイムコースを追加する。in situハイブリダイゼーション法を用いて、オキシトシンニューロンやバゾプレッシンニューロンの活性動態やmRNAの発現レベルを系統間ならびに群間で比較検討を行う。また、TRPV4KOマウスならびにTRPV1・4ダブルKOマウスを用いて同様の実験を行う予定である。 本研究の成果は、日本生理学会、日本整形外科学会などの国内学会および国際学会で発表し、国際専門誌に英文論文として発表する予定である。
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Causes of Carryover |
購入した試薬が予定より安価だったため残額が生じた。来年度に試薬購入費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Acute Mono-Arthritis Activates the Neurohypophysial System and Hypothalamo-Pituitary Adrenal Axis in Rats.2020
Author(s)
Nishimura H, Kawasaki M, Matsuura T, Suzuki H, Motojima Y, Baba K, Ohnishi H, Yamanaka Y, Fujitani T, Yoshimura M, Maruyama T, Ueno H, Sonoda S, Nishimura K, Tanaka K, Sanada K, Onaka T, Ueta Y, Sakai A.
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Journal Title
Front Endocrinol (Lausanne)
Volume: 11
Pages: 43
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Neuropathic Pain Up-Regulates Hypothalamo-Neurohypophysial and Hypothalamo-Spinal Oxytocinergic Pathways in Oxytocin-Monomeric Red Fluorescent Protein 1 Transgenic Rat.2019
Author(s)
Nishimura H, Kawasaki M, Suzuki H, Matsuura T, Motojima Y, Ohnishi H, Yamanaka Y, Yoshimura M, Maruyama T, Saito R, Ueno H, Sonoda S, Nishimura K, Onaka T, Ueta Y, Sakai A.
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Journal Title
Neuroscience
Volume: 15
Pages: 50-61
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] カラゲニン誘発性膝関節炎ラットにおける視床下部-下垂体系および視床下部-脊髄系の侵害受容調節の検討2020
Author(s)
西村春来, 川崎展, 元嶋尉士, 松浦孝紀, 馬場一彦, 鈴木仁士, 山中芳亮, 大西 英生, 吉村充弘, 丸山崇, 園田里美, 西村和朗, 田中健太郎, 真田賢哉, 上田陽一, 酒井昭典
Organizer
第49回日本心脈管作動物質学会
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