2018 Fiscal Year Research-status Report
体内再生誘導メカニズムを応用した新鮮損傷膝前十字靭帯の修復法の開発
Project/Area Number |
18K09091
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
石橋 恭之 弘前大学, 医学研究科, 教授 (80292142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 英一 弘前大学, 医学研究科, 教授 (00361014)
木村 由佳 弘前大学, 医学研究科, 助教 (40455746)
佐々木 英嗣 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (60587038)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 再生医療 / スポーツ医学 / 膝関節 / 前十字靱帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は膝前十字靭帯損傷に対する自己修復メカニズムの解明とそれを応用した膝前十字靭帯修復術の開発を目標に研究を進めている。まずは関節内損傷に対する生体反応を観察するためにparabiosis modelを作成し、膝関節内損傷の代表である滑膜炎を誘発したマウス滑膜炎モデルを作成した。この滑膜炎に応答して細胞が血流を介して滑膜に遊走してくることを証明することができた。本細胞は間葉系幹細胞と同様の性質を示し、間葉系幹細胞に特徴的な細胞表面マーカーを有していた。我々はこれまでの研究から生体内再生誘導メカニズムにおいて重要な役割を果たしているHMGB-1(high mobility group box-1 protein)に注目している。滑膜炎に応じて集簇する骨髄由来間葉系幹細胞の数はHMGB-1の投与により増幅されることも明らかにすることができた。本結果はHMGB-1の全身投与がHMGB-1による骨髄間葉系幹細胞の血中動員メカニズムを介して膝前十字靭帯修復にも応用できる可能性があるということを示していると考えられた。本結果を応用して膝前十字靭帯修復への治療効果を検証するためにラット膝前十字靭帯損傷モデル、ラット膝前十字靭帯再建モデルを作成することに成功しており、現在は評価系の条件検討を行っているところである。またヒトにおける損傷部修復メカニズムの解明を行う計画をしている。膝前十字靭帯損傷後の関節液を採取し、網羅的解析を行う準備している。十分なサンプル数に到達次第HMGB-1濃度を含むサイトカインや代謝産物解析、RNA解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、ACL修復術の開発に関する動物実験を行う予備実験を進めているところである。ラットを用いて顕微鏡下にACL損傷モデルを作成し、長期経過観察できるモデルの作成に成功している。また、ACL再建モデルの作成も安定して作成することができるようになってきている。評価系に関しては修復ACLの強度測定のための引張試験機や組織作成のための条件検討を行っているところである。これらを含めておおむね順調に研究が進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在ラットACL損傷モデルとラットACL再建術モデルの作成が可能となっており、本モデルに対するHMGB-1投与による関節内修復効果の検討を行う予定である。実施計画通りの全身投与を行い、評価プロトコールに従って修復靭帯及び再建靭帯の強度測定や組織学的評価へと研究を進める予定である。また、本実験で得られた結果に対する治癒メカニズムに関しても研究を行う。parabiosis modelを用いて損傷部修復時に遊走してくる細胞を同定しその特徴を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
実験消耗品について節減できたため、残額が生じた。次年度以降の実験消耗品の購入や 成果公表に必要となる支出へ充当したいと考えている。
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