2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K09096
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
菊地 克史 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (00602062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 信吾 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (40462220)
麻生 義則 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (50345279)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PAI-1 / 肉腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗がん剤が大半の骨軟部肉腫に作用し難いことは、肉腫治療における大きな課題である。また、高悪性肉腫の場合は、肉眼的には完全に肉腫を切除できた場合でも、しばしば再発や転移が問題となり、このような症例は抗がん剤治療のみではコントロールができず、予後不良となる。このため、抗がん剤に代わるもしくは抗がん剤と併用する新たな肉腫治療薬が希求されている。本研究は、PAI-1が肉腫幹細胞とがん幹細胞ニッチの相互作用に重要な分子であることを明らかにし、連携研究者らが新規に開発したPAI-1阻害剤が、肉腫幹細胞をがん幹細胞ニッチから離脱させることで抗がん剤の感受性を高め、肉腫の増殖や転移を抑制する新たな肉腫治療薬として応用できる可能性、およびPAI-1阻害剤が直接腫瘍細胞に及ぼす作用を検証する。 本年度は、ヒト肉腫細胞株であるSaOS2, U2OS, ANOS、およびコントロールとしてヒト間葉系幹細胞を培養し、PAI-1発現を非肉腫細胞と比較した。また、これらの肉腫細胞株、およびヒト間葉系幹細胞に対してPAI-1阻害剤を作用させ、増殖活性、細胞死、senescenceなどに対する影響を解析した。その結果、PAI-1阻害剤は肉腫細胞株において、用量依存的にこれらの活性に有意な影響を与えること、ヒト間葉系幹細胞ではその活性が認められないことが明らかとなった。来年度は、PAI-1阻害剤の標的分子を探索するために、分子生物学手法によって細胞内シグナルの検証を行う。また免疫不全マウスを用いてin vivoにおける検証を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肉腫細胞株に対するPAI-1阻害剤の一定の影響を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト肉腫細胞株における、PAI-1阻害剤による作用機序を解析する。また、免疫不全マウスに対してヒト細胞株を移植し、PAI-1阻害剤の投与効果を解析する予定である。ただし、新型コロナウイルス流行の影響により、学内で一時的な研究計画縮小を求められており、予定通りに研究を遂行できるかどうか、不透明な部分がある。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は端数である。新年度において消耗品購入に充当する。
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Research Products
(3 results)