2019 Fiscal Year Research-status Report
体軸性脊椎関節炎に対する新規治療法の開発及び本邦での疾患関連遺伝子検索
Project/Area Number |
18K09103
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
冨田 哲也 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (30283766)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中神 啓徳 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (20325369)
二井 数馬 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30588380) [Withdrawn]
吉川 秀樹 大阪大学, 医学系研究科, 理事・副学長 (60191558) [Withdrawn]
岡田 随象 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70727411)
玉城 雅史 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 助教 (90837535)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 強直性脊椎炎 / HLA B-27 / IL-17A / ワクチン療法 / 脊椎関節炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
強直性脊椎炎(Ankylosing spondylitis; AS)は、体軸関節である脊椎・仙腸関節を中心に慢性進行性の炎症を生じ、関節の骨性強直や関節破壊により重度の身体障害を引き起こす疾患である。ヒト白血球抗原(human leukocyte antigen; HLA)-B27はASと強い関連性がある。治療法として抗TNF抗体が有効であるが、関節炎発症機序においてインターロイキン(IL)-23/IL-17経路が着目されており、臨床試験でIL-17Aをターゲットとした抗体医薬の有効性が示され重要な治療オプションとなっている。しかし、抗体療法は高額で頻回にわたる投与が必要であり、患者の経済的・身体的負担は大きい。この課題に対し我々は抗体治療の代替療法としての治療ワクチンに着目し、ワクチンにより抗体産生を誘導することで長期治療効果が期待できると考え、強直性脊椎炎に対してIL-17A治療ワクチンの効果について検討した。 ヒトHLA-B27とbeta2ミクログロブリン(beta2-microglobulin 2mg)を過剰発現させたトランスジェニックラット(HLA-B27/beta2ミクログロブリン 2mg TGラット)は生後約100日あたりから関節炎の症状や尻尾の腫脹を呈する脊椎関節炎モデルラットであるが、結核死菌を追加投与することで加速化に成功した。このHLA-B27/&beta2ミクログロブリン 2mg TGラットにIL-17Aワクチンを2週間おきに3回接種し、抗体価が上昇していることを確認した。さらに4週間ごとに関節炎の評価を行ったところ、ワクチン群において関節炎症状が無処置群と比較して抑制されていた。X線解析、病理解析において無処置群においては関節、尻尾(脊椎)における骨破壊が見られたが、ワクチン群では抑制されていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疾患実験動物系でのIL-17Aワクチンの治療効果については、これまで症状発症まで約100日程度要していたが、結核死菌を追加投与することで5週で発症させることができ、個体差も最小限度に抑えられた、効率的な実験動物モデルの確立に成功した。これにより一回の実験系が10週で完結でき、実験期間の短縮が可能となり、様々なデータ収集が行えた。結核死菌を追加投与3週前よりIL-17Aワクチンを2週毎に3回投与することで、抗体産生が確認されている。治療群で関節炎スコア、足関節腫脹などの末梢関節炎に加え、体軸関節である尾部腫脹抑制など臨床症状軽減が有意に抑制されている。画像検査により足関節破壊抑制効果、体軸関節での靱帯付着部炎の抑制などが有意に確認され、IL-17Aワクチン治療による効果が客観的、科学的に確認され、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。日本人強直性脊椎炎疾患関連遺伝子検索では現在検体収集を進めており、ある程度の検体数が得られた時点で解析を行う予定にしており、現時点での解析結果はない。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在はIL-17Aワクチン投与から生体内でIL-17A抗体産生が生じるまである程度の時間を要するため、脊椎関節炎発症前よりIL-17Aワクチンを投与する実験系で実施している。今後関節炎発症後からのIL-17Aワクチン投与でどのような治療効果が認められるか検討する予定である。さらにIL-17A抗体による骨関節破壊抑制効果の病態を解明するため、関節局所での炎症性サイトカインの発現レベル等を検討する予定である。日本人強直性脊椎炎疾患関連遺伝子検索ではHLA B-27陽性、陰性での検体収集を行い比較検討する予定である。
|
Causes of Carryover |
当初予算より経費節約が出来たため
|
Research Products
(15 results)
-
[Journal Article] Ixekizumab for patients with non-radiographic axial spondyloarthritis (COAST-X): a randomised, placebo-controlled trial.2020
Author(s)
Deodhar A, van der Heijde D, Gensler LS, Kim TH, Maksymowych WP, Østergaard M, Poddubnyy D, Marzo-Ortega H, Bessette L, Tomita T, Leung A, Hojnik M, Gallo G, Li X, Adams D, Carlier H, Sieper J; COAST-X Study Group.
-
Journal Title
Lancet
Volume: 395
Pages: 53-64
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] Efficacy and safety of ixekizumab through 52 weeks in two phase 3, randomised, controlled clinical trials in patients with active radiographic axial spondyloarthritis (COAST-V and COAST-W).2020
Author(s)
Dougados M, Wei JC, Landewé R, Sieper J, Baraliakos X, Van den Bosch F, Maksymowych WP, Ermann J, Walsh JA, Tomita T, Deodhar A, van der Heijde D, Li X, Zhao F, Bertram CC, Gallo G, Carlier H, Gensler LS; COAST-V and COAST-W Study Groups.
-
Journal Title
Ann Rheum Dis.
Volume: 79
Pages: 176-185
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] Clinical Characteristics of Patients with Spondyloarthritis in Japan in Comparison with Other Regions of the World.2019
Author(s)
Kishimoto M, Yoshida K, Ichikawa N, Inoue H, Kaneko Y, Kawasaki T, Matsui K, Morita M, Suda M, Tada K, Takizawa N, Tamura N, Taniguchi A, Taniguchi Y, Tsuji S, Haji Y, Rokutanda R, Yanaoka H, Cheung PP, Gu J, Kim TH, Luo SF, Okada M, López Medina C, Molto A, Dougados M, Kobayashi S, van der Heijde D, Tomita T.
-
Journal Title
J Rheumatol.
Volume: 46
Pages: 896-903
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-