2018 Fiscal Year Research-status Report
New therapeutic strategy of bone soft tissue sarcoma by inhibition of defective autophagy with induction by HSP inhibitor
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18K09108
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
山本 哲司 香川大学, 医学部, 教授 (80220482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 修 香川大学, 医学部, 助教 (40532685)
福岡 奈津子 香川大学, 医学部附属病院, 病院助教 (30771232)
石橋 洋一 香川大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50771937)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨軟部肉腫細胞 / HSP阻害剤 / アポトーシス / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
骨軟部肉腫は放射線治療や化学療法に抵抗性が強く、手術治療が選択されることが多いが、手術侵襲を考慮すると、術前化学療法で腫瘍を縮小させることができれば理想的である。このため、既存の化学療法に代わる様々な標的治療薬が開発されおり、その標的因子のひとつに熱ショックタンパク質(HSP)がある。本研究の目的は、骨軟部肉腫細胞に対するHSP阻害剤SNX-2112の効果およびその抵抗性を精査し、その抵抗性を制御することで、新たな術前化学療法の確立を目指すことである。本研究では、骨軟部肉腫細胞株を使用し、SNX-2112に対する抵抗性のメカニズムを解明する。更に、その制御による抗腫瘍効果の増強を証明し、臨床応用の可能性を探ることである。 研究実施計画では、in virtoおよびin vivoの実験を予定している。骨軟部肉腫細胞株を使用し、SNX-2112の抗腫瘍効果および腫瘍細胞の抵抗性を実験的に解明する。in virtoの実験では、生物生存アッセイ(WST-1アッセイ)、ウエスタンブロット法、形態学的実験を行う。生物生存アッセイでは、SNX-2112の抗腫瘍効果を、ウエスタンブロット法では腫瘍細胞のシグナル伝達系の発現や、アポトーシスおよびオートファジー関連タンパクの発現を、形態学的実験では、蛍光顕微鏡および電子顕微鏡による評価を予定している。in vivoの実験では、実験用ヌードマウスを使用し、皮下に培養細胞を移植しxenograftを作成。このヌードマウス腫瘍モデルを使用して、ヌードマウス皮下の腫瘍サイズの測定によりSNX-2112の効果を評価を行う。更に将来的にはオートファジー抑制剤の併用による実験も予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、2種の軟部肉腫細胞株を用いてin vitroでの実験を進めている。平成30年度は吸光光度計およびウエスタンブロットの電気泳動装置およびブロッティング装置を科研費で購入した。生物生存アッセイではSNX-2112により抗腫瘍効果を認め、ウエスタンブロット法においても、アポトーシスおよびオートファジー関連タンパクの発現を認めた。このオートファジー関連タンパクの発現が、腫瘍細胞の抵抗性によるものと考えられる。また、研究計画書に記載している形態学的評価も一部実験結果が得られており、おおむね順調に伸展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策であるが、まずはin vitroでの実験結果を得ることである。SNX-2112の投与による腫瘍細胞株のタンパク質の発現をウエスタンブロット法を中心に、シグナル伝達経路やアポトーシス、オートファジー発現の評価を積極的に行っていく方針である。また、ある程度の実験結果が得られた段階で、オートファジー抑制剤(ハイドロオキシクロロキン)を併用した抗腫瘍効果の増強および、タンパク質発現の変化を評価していきたい。その後、形態学的評価を行い、将来的にはin vivoの実験に進みたいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成30年度には実験機器の購入を中心に科学研究費を使用した。当初の実験計画書では、試薬や抗体、消耗品に科学研究費を計上していたが、当該年度の実験においては実験室に以前から使用しているもので充足されていたため、購入の必要性が無かった。このため、余剰した助成金は次年度に使用する予定となった。
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