2019 Fiscal Year Research-status Report
New therapeutic strategy of bone soft tissue sarcoma by inhibition of defective autophagy with induction by HSP inhibitor
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18K09108
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
山本 哲司 香川大学, 医学部, 教授 (80220482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 修 香川大学, 医学部, 助教 (40532685)
野村 優美 香川大学, 医学部附属病院, 医員 (40855459)
石橋 洋一 香川大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50771937)
福岡 奈津子 香川大学, 医学部附属病院, 病院助教 (30771232)
加地 良雄 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (30314917)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨軟部肉腫細胞 / HSP阻害剤 / オートファジー阻害剤 / オートファジー / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
骨軟部肉腫は放射線治療や化学療法に抵抗性が強く、手術治療が選択されることが多い。しかし、手術侵襲を考慮すると、術前化学療法で腫瘍を縮小させることができれば理想的である。このため、既存の化学療法に代わる様々な標的治療薬が開発されおり、その標的因子のひとつに熱ショックタンパク質(HSP)がある。がん細胞において、その発生や増殖、転移を制御するHSPの因子が高発現していることは以前から知られている。しかし、実際に臨床応用されている薬剤は未だ確立されていない。本研究の目的は、骨軟部肉腫細胞に対するHSP阻害剤の効果およびその抵抗性を精査し、その抵抗性を制御することで、新たな術前化学療法の確立を目指すことである。この抗腫瘍薬に対する抵抗性が、防御的オートファジーと考えており、オートファジー阻害剤であるクロロキンを併用した抗腫瘍作用について基礎実験を行う方針である。 本研究では、骨軟部肉腫細胞株を使用し、HSP阻害剤に対する抵抗性のメカニズムを解明する。更に、その制御による抗腫瘍効果の増強を証明し、臨床応用の可能性を探ることである。われわれは新規HSP90阻害剤であるSNX-2112を使用する方針とした。その理由は、他のがん種では臨床研究まで応用が進んでいる実績があるため、臨床応用の可能性が高いことである。また、オートファジー阻害剤としてはクロロキンを使用する予定である。 具体的には、in vitroの実験においては、生物生存アッセイ、ウエスタンブロットによるタンパク質の発現、フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡による形態学的評価を行う。また、in vivoの実験では、ヌードマウスを用いた腫瘍組織移植モデル(ヌードマウスxenograft)を作製し、SNX-2112による腫瘍モデルの抑制効果を検討する予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3種の骨肉腫細胞株を用いてin vitroでの実験を進めている。令和元年度は、老朽化した実験用フリーザーと実験用冷蔵庫を購入した。すべての骨肉腫細胞株において、生物生存アッセイではSNX-2112により抗腫瘍効果を認め、ウエスタンブロット法においても、アポトーシスおよびオートファジー関連タンパクの発現を認めた。このオートファジー関連タンパクの発現が、腫瘍細胞の抵抗性によるものと考えられる。また、研究計画書に記載している形態学的評価も一部実験結果が得られており、おおむね順調に伸展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在得られているin vitroでの実験結果については、日本整形外科学会基礎学術集会、国際整形外科基礎学術集会等に発表するための準備を進めている。 また、in vitroの結果が全て揃った場合には、in vivoでの実験に移るべく、準備を進めている。具体的にはヌードマウスの背部皮下に現在継代・培養中の腫瘍細胞株を注射して作成した腫瘍組織移植モデルに対し、SNX-2112、クロロキン、あるいはその両方を投与し、腫瘍サイズの変化を経時的に計測し、その抗腫瘍効果を評価する予定である。更にその組織学的評価も予定している。 最終的には、上記実験結果を英語論文にまとめ、オンコロジーに関連した英文ジャーナルへの投稿を計画している。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、実験試薬、特に各種抗体の購入が必要と考えており、本年度に計上していたのであるが、これまでの実験に使用した抗体をそのまま使用したため、抗体購入費に充てていた分を使用したかったため、余剰金が生じた。このため、これらの余剰金を次年度に充てる計画となった。
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Research Products
(3 results)