2019 Fiscal Year Research-status Report
β-catenin類似分子CTNNBL1の骨芽細胞分化選別機能の解析
Project/Area Number |
18K09111
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
河村 一郎 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (90535832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 真吾 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (60353463)
永野 聡 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (50373139)
瀬戸口 啓夫 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (40423727)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CTNNBL1 / 骨芽細胞分化 / 軟骨細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Catenin-beta-like 1(CTNNBL1)は細胞周期関連因子CDC5Lとの複合体形成が指摘されており、我々も免疫沈降実験にて両者の結合を確認した。CTNNBL1が、β-cateninの様にWNTシグナルと関与するのか、WNT/β-catenin経路ルシフェラーゼアッセイ(TOP/FOP flash)で確認すると、Ctnnbl1は有意にその活性を増強した。ST-2骨髄間質細胞において、Cdc5lはWnt3aによる骨芽細胞分化を抑制し、Ctnnbl1はこれをキャンセルしたが、BMP刺激の時と逆になり、解釈できていないが、おそらくWNT存在下におけるCtnnbl1の機能はCdc5lを介し、増殖、分化を相互調整している可能性が示唆された。しかしST-2細胞でCtnnbl1単独ノックダウンしたところ、骨芽細胞分化は軽度促進されたが、劇的ではなかった。一方軟骨細胞分化系においては、Ctnnbl1ノックダウンにより、ATDC5細胞におけるCol2a1発現は促進、Col10a1は抑制されたことから、Ctnnbl1は早期分化には抑制的、後期分化には促進的に機能する可能性が示唆され、軟骨分化の早期においてCtnnbl1とCdc5lはWntシグナルを介し、相互的に関与している可能性が示唆された。しかし、やはりWnt3a添加時の表現型が微弱な事から、そのWntへの役割は限定的であると判断し、CDC5Lの機能解析をまず先に進める事にした。C3H10T1/2細胞においては、Cdc5l siRNAによって腱・靭帯細胞分化マスター転写因子であるScleraxis (Scx)と、その下流のTenomodulinの発現が増えた事から、総合すると、Cdc5lは間葉系幹細胞(MSC)の分化選別スイッチとして、軟骨細胞を選別する役割が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CTNNBL1のWnt3a誘導分化実験系における表現型が再現性と有意性に乏しく、限定的である為に、実験を繰り返している事が主な原因である。このことから、CTNNBL1そのものの機能を追求するには無理があると判断し、その結合パートナーであるCDC5Lの機能解析をまず推し進めて、その後にCTNNBL1にfeedbackする戦略に変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
CTNNBL1そのものの機能を追求するには無理があると判断し、その結合パートナーであるCDC5Lの機能解析をまず推し進めて、その後にCTNNBL1にfeedbackする戦略に変更した。具体的には、CDC5Lの臨床的意義を探るために、脊椎後縦靭帯骨化症(OPLL)をモデルとして、その臨床サンプルにおける発現を検討して、どの細胞種や変性部位に局在するか理解し、その上でin vitroでは、靭帯から骨(膜性骨化)・軟骨(内軟骨性骨化)分化へのスイッチとしての可能性を、gain or loss-of-function実験でさらに追求したい。
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Causes of Carryover |
CTNNBL1のWnt3a誘導分化実験系における表現型が再現性と有意性に乏しく、限定的である為に、実験を繰り返している事が主な原因である。その結合パートナーであるCDC5Lの機能解析をまず推し進めて、その後にCTNNBL1にfeedbackする戦略に変更した。靭帯から骨(膜性骨化)・軟骨(内軟骨性骨化)分化へのスイッチとしての可能性を、gain or loss-of-function実験を予定しており、計画的に使用可能と考えられる。2019年度の未使用額に関しては、追加購入必要試薬もあるため、2020年度に必要試薬の購入に使用予定である。
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