2020 Fiscal Year Annual Research Report
Role of tissue factor in diabetic osteoporosis
Project/Area Number |
18K09123
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
辰巳 公平 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (70555432)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | tissue factor / 糖尿病 / 骨粗鬆症 / 骨代謝 / 骨修復 / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、糖尿病病態でその血中濃度が増加し炎症反応でも誘導されるとされる、凝固反応開始因子として知られる組織因子(Tissue factor;TF)に着目し、遺伝子改変マウスモデルや培養細胞を用いて、糖尿病性骨粗鬆症における骨代謝異常や糖代謝異常におけるTFの役割を解明することを目的とするものである。それにより、糖尿病性骨粗鬆症の病態機序における新規側面を見出し、同疾患の診断・治療法の新規開発につながる知見を得ることを目指す。 1年目・2年目では、主にマウスを用いた動物実験を実施した。TF活性が低下しているマウス(LowTFマウス)および野生型マウスに対して、ストレプトゾトシン投与により糖尿病を誘発した。糖尿病誘発率、血糖値、糖尿病化後の体重変化において両群間で差異は認めず、糖尿病化2週後に定量した骨密度においても差異は認めなかった。その後、大腿骨に骨欠損を作製し、骨修復過程を経時的にCT撮影にて観察した。糖尿病化マウスは非糖尿病マウスに比べ有意に骨修復が遅延したが、LowTFマウスにおいてはその遅延度合いがさらに増大した。すなわち骨修復におけるTFの重要性が示唆された。 最終年度(3年目)は、マウス実験で見られた現象の機序解明に向け、培養細胞を用いた検討を実施した。マウスマクロファージ細胞株であるRaw264.7細胞に対して、RANKLを添加して破骨細胞形成を誘導する実験を行った。その際に、各種濃度のTFを添加した結果、添加濃度依存性に破骨細胞形成が抑制された。一方で、新生仔マウス頭蓋骨から樹立した初代骨芽細胞に対して同様にTFの添加を行ったが、有意な変化は見られなかった。 以上から、TFが骨吸収系への抑制作用を示したことから、TF活性低下により骨修復の骨リモデリングにおける骨吸収の優位性が増加し、結果として糖尿病による骨修復遅延が増強される結果となった可能性が考えられた。
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Research Products
(3 results)