2019 Fiscal Year Research-status Report
Exploring novel downstream targets of VBC-Cul2 complex in clear cell renal cell carcinoma
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18K09140
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
神波 大己 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (20402836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 理也 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 准教授 (10347304)
矢津田 旬二 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (20749626)
元島 崇信 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (60726355)
村上 洋嗣 熊本大学, 病院, 助教 (70735703)
荒木 令江 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (80253722)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腎癌 / VHL / 新規標的分子 / 3次元培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度までに、樹立した786-O/TR-pVHL細胞におけるpVHL発現レベルと誘導効率及びHIFαの分解機能を評価した。786-O/TR-pVHL細胞ではドキシサイクリン添加の有無に関わらずHIFαの転写活性が抑制されており、ごくわずかのpVHLによりHIFαが分解されている事が明らかとなった。 そのため本年は786-O親株と、空ベクター導入株pRC3及びVHL導入株WT8を用いてスフェア形成能及び3D培養の遺伝子発現に及ぼす効果を評価した。これらの細胞株を用いて3D培養系を確立するとともに、細胞塊立体観察装置によるタイムラプス観察を行い、VHLの有無によるスフィア形成過程の差異を解析した。また、VHLの有無による低酸素応答遺伝子発現レベルの差を2D培養と3D培養で比較検討するとともに、最も発現レベルの差が大きくなる培養条件の最適化を行った。その結果、至適細胞数でスフィアを形成した際に、VHL欠損による低酸素応答遺伝子(VEGF)の発現は2D培養で6.9 倍増加にしたのに対して3D培養では124倍増加したことを見出し、3D培養下においてVHLの新たな標的たんぱく質を見出すという本研究計画の妥当性を支持する結果が得られた。 プロテオミクス解析に関しては、VHLの有無及びHIF発現の効果を除外する目的で、異なる3つのサンプル間で微細なタンパク量の違いを検出する必要があると考え、SILAC(Stable Isotope Labeling using Amino Acids in Cell Culture)法を採用することとした。本年度は安定同位体ラベルしたアルギニンとリシンで置換した培養液で、解析に用いるpRC3及びWT8を長期間培養し、細胞内アルギニン及び/又はリシンを安定同位体ラベルしたものに置換した細胞を充分量作成しストックを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3D培養系の確立と、VHLの有無が最も顕著に検出できる培養条件を見出すことができた。特に3D培養最適条件下では、VHL欠損細胞における低酸素応答遺伝子(VEGF)の発現が2D培養で6.9 倍増加にしたのに対して3D培養では124倍にも増加することを新たに見出し、より生理的な条件下でプロテオーム解析を行うことでVHLの新規標的たんぱく質を探索するという本研究の有効性を裏付ける結果が得られた。また、質量分析による新規VHL標的たんぱく質の同定に向けて、細胞のSILAC代謝標識も完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度はSILAC代謝標識したVHL欠損786-O細胞、VHL再導入786-O細胞、そしてVHL及びVHLにより分解されないHIF2α導入細胞(WT8 HIF2α P531A)を用い、2D培養、及び3D培養後にサンプリング後質量分析及び網羅的遺伝子発現解析を行う。
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Causes of Carryover |
平成30年度に確立済みの786-O/TR-pVHL細胞を検証したところ、当初予想された3次元培養でのsphere形成能に有意な差異を認めず、ドキシサイクリン未添加でのごくわずかのpVHL発現でもHIFαの転写活性が抑制されている事が明らかになった。そのため本年度は786-O親株と、空ベクター導入株pRC3及びVHL導入株WT8を用いてスフェア形成能及び3D培養の遺伝子発現に及ぼす効果を評価し、3D培養下でVHLの有無による遺伝子発現の変化が最も大きくなる至適条件の設定に費やすこととなり遺伝子やタンパクの網羅的解析に入ることができなかったことが次年度使用額が生じた主な理由である。 上述のように至適培養条件を確立したので、今年度はその条件下での網羅的なプロテオーム解析やトランスクリプトーム解析を行い、さらに見出した分子が治療標的分子になりうるかを培養細胞実験系あるいはマウスモデルを用いて検証する計画であり、翌年度分として請求した助成金と合わせ使用する計画である。
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