2021 Fiscal Year Research-status Report
男性ホルモン補充に起因する虚血性心血管疾患に対する生体内NO量制御の有用性の検証
Project/Area Number |
18K09141
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
坂梨 まゆ子 金城学院大学, 薬学部, 准教授 (80363662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 俊博 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50244330) [Withdrawn]
筒井 正人 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70309962) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | テストステロン / NOx / 硝酸塩 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)生体内のNO合成酵素完全欠損による生体内NOxレベル低下モデルマウスの心筋を用いたmRNA発現の検討、ならびに(2)野生型マウスに低NOx食を負荷した食餌誘発性生体内NOxレベル低下モデルマウスにおける運動機能の検討を行なった。 (1) NO合成酵素完全欠損マウスを用いた心筋梗塞モデルでは、低テストステロン群の方が正常テストステロン群に比して生存率が高いことが明らかとなった。そこで、NO合成酵素完全欠損マウスを2群に分け、両側精巣摘出群(ORX)と両側精巣を摘出し生体内にテストステロンチューブを留置したテストステロン補充群(ORX+TEST)を作製し、処置後二週間目の心筋を用いて各種mRNAの発現を比較した。その結果、ORX群に比してORX+TEST群ではSerpina3やANGPTL4、エンドセリンレベルの有意な増加を認めた。 (2)野生型マウスを用いて偽手術+通常NOx食群、ORX+通常NOx食群、ORX+低NOx食群、NO補充モデルとしてORX+低NOx食+NaNO3負荷群を作製し、負荷後8ヶ月目に運動機能を検討した。Rota-rod Testでは、偽手術+通常NOx食群とORX+通常NOx食群で有意な差を認めなかったものの、ORX+低NOx食負荷群では運動時間の短縮傾向が認められた。ORX+低NOx食群へのNaNO3負荷は、ORX+低NOx食群で認められた運動時間の短縮を有意に改善させた。一方、寡動性を評価するPole Testでは、偽手術+通常NOx食群に比してORX+通常NOx食群では寡動時間の延長が認められた。ORXマウスに低NOx食を負荷すると寡動時間の延長は抑制されたが、NaNO3負荷により稼働時間延長の抑制は認められなくなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、当初の研究でサンプリングしていた検体を用いて、生体内NO産生レベル低下マウスの低テストステロン群とテストステロン補充群間で、心筋のmRNA発現を比較した。この実験により、これまでに得られた結果の機序の解明に着手することができた。さらに、2020年度の研究中に偶然見出されたORX+低NOx食投与マウスの運動機能の変化に着目した実験についても、併せて行うことができ、新たな知見が複数得られた。以上のことから、前年度に比して本研究は概ね順調に進展したと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、前年度に引き続き食餌誘発性生体内NOxレベル低下モデルマウスの脂肪組織を用いて、アディポカインのタンパク発現ならびにmRNA発現を検討する。さらに、運動機能実験を行なったマウスの脳組織を摘出し、組織切片を作製して免疫染色による評価を行う。本年度は研究の最終年度であることから、研究成果の公表を目標として、これまでに得られたデータを統合し、多面的に解析を行う。
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Causes of Carryover |
2021年度に測定機器(アンプ類一式)を購入予定だったが、運動機能実験を先倒しで行なったため、当該機器を用いて行う実験が後回しになり、購入を2022年度に先送りにした。そのため次年度使用額が生じた。2022年度は、前年度に購入予定であった測定機器の購入と、現在行なっている心筋のmRNA発現検討に使用する消耗品を購入することで使用を予定している。
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