2020 Fiscal Year Annual Research Report
Aberrant histone modification patterns of tumor-related gene promoter as a new biomarker for renal cell carcinoma
Project/Area Number |
18K09150
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
篠島 利明 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60306777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 隆一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (60383824)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / エピジェネシス / ヒストン修飾 / クロマチンリモデリング / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
エピジェネシスを制御する遺伝子群の変異がもたらす腎細胞癌の進行・進展のメカニズムを明らかにするため、前年度に引き続き手術時に遠隔転移を認めない淡明細胞型腎細胞癌の臨床検体において、遺伝子変異の有無と、各種マーカーや臨床パラメータとの関連を網羅的に解析した。マーカーの発現解析では組織マイクロアレイを用い、免疫関連細胞や細胞内代謝、そしてがん幹細胞に関連する蛋白の発現を定量化した。その結果、PBRM1などのクロマチンリモデリングやヒストン修飾に関連する遺伝子変異を有する症例では変異を認めない症例と比較すると組織学的悪性度やT病期に有意差はないものの、無増悪生存期間や全生存期間が有意に不良であることが明らかとなった。そのメカニズムとして、マーカー解析からは腫瘍関連マクロファージ(TAM)の関与が示唆された。これは局所限局性腎細胞癌の治療成績を向上させるためには、TAMを標的とした術後補助免疫療法が有効である可能性を示唆する新規知見と考えられた。 本研究全体ではVHL-HIF経路が恒常的に活性化された腎細胞がんにおいては、プロモーター領域のヒストン修飾によってHIFs蛋白の発現調節がされていることが示され、ヒストン修飾酵素の制御が将来の創薬のターゲットとなるものと考えられた。またエピジェネシスにかかわる遺伝子変異は、病期・病理学的因子から独立して生物学的悪性度に関与している可能性が示された。これらの予後不良症例に対しては、従来の免役チェックポイント分子とは異なるアプローチでの免役治療が有効であることが示唆された。
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