2018 Fiscal Year Research-status Report
常染色体優性多発性嚢胞腎の全ゲノムシークエンスの研究
Project/Area Number |
18K09151
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
堀江 重郎 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40190243)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ADPKD / 常染色体優性多発性嚢胞腎 / 遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性嚢胞腎は、平成27年1月1日に施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)に定められた遺伝性疾患(指定難病 67)であり、両側の腎臓に嚢胞が無数に生じる疾患である。ADPKDの病態を引き起こす遺伝子として代表的なものがPKD1、PKD2の2つあり、各々蛋白としてPolycystin1(PC1)とPolycystin2(PC2)をコードしている。ADPKD患者の約85%がPKD1の遺伝子変異が原因で、残り約15%はPKD2遺伝子変異が原因とされている。ADPKDで病的変異を持つ患者のうち、PKD1遺伝子に変異を有する患者はPKD2より一般に臨床症状が重いとされる。しかしながら日本人を対象としたPKD1とPKD2の遺伝子変異とその臨床的重要性に関するデータベースは未だ構築されていない。本邦ではまだADPKDの遺伝子診断は一般化されていない。その要因の一つとして、主たる原因遺伝子であるPKD1遺伝子のExonが44個と多数であり、タンパク質をコードされている領域だけでも14 kbpと非常に長く、また極めて相同性の高い偽遺伝子が6個存在するため、長鎖PCRを行ってPKD1遺伝子特異的断片を増幅してから遺伝子解析を行う必要があるなどその操作が煩雑であったことが挙げられる。本研究は、常染色体優性多発性嚢胞腎の包括的遺伝子解析を行い、病態と関連を探求することによって、新規責任遺伝子、病態に関与する細胞内情報伝達系を同定し、リスク因子、創薬、新規治療を開発することを目的とする。現在までに、PC1はミトコンドリア機能と細胞代謝を直接的に調節し、ミトコンドリア機能の改善を理解する枠組みを供給し、さらに生理的および病理学的な尿細管径の調節に関連していることを明らかにした。また、日本人ADPKD患者においても、PKD1 truncating変異群の平均腎機能生存期間はnon-truncating変異群と比べて有意に長いことも明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
われわれは、ADPKDの原因として細胞内代謝の調節不全があることを示すために、Pkd1遺伝子欠損細胞における内因的代謝リプログラミングを検討した。Pkd1遺伝子欠損マウスでは腎上皮細胞の脂肪酸の利用が阻害され、異常なミトコンドリアの形態と機能が明らかになった。さらにADPKD症例では腎ミトコンドリアの形態異常が示された。またC末端領域切断polycystin-1をミトコンドリア基質へ移動させ、Pkd1遺伝子欠損マウスにおけるC末端領域切断polycystin-1を発現させると、様々なミトコンドリア表現型を救出する。今回の研究から、polycystin-1はミトコンドリア機能と細胞代謝を直接的に調節し、ミトコンドリア機能の改善を理解する枠組みを供給し、さらに生理的および病理学的な尿細管径の調節に関連していることを明らかにした(Sci Rep. 2018 Feb 9;8(1):2743)。また、ADPKDは責任遺伝子変異の種類によって腎機能低下速度が異なることが知られている。PKD1遺伝子変異を有する338例、PKD2遺伝子変異を有する72例に対して、次世代シークエンスを用いて包括的遺伝子診断を行った。PKD1 non-truncating変異群の平均腎機能生存期間(末期腎不全に至るまでの期間)は、GPS領域に変異を有する症例で70.2年、膜貫通領域で67年、細胞内C末端領域で50.1年と有意差を認めた。PKD1 truncating変異群の平均腎機能生存期間はnon-truncating変異群と比べて有意に長かった(p=0.0348)が、truncating変異部位がN末端かC末端かで差を認めなかった(p=0.4375)(Clin Exp Nephrol. 2018 Apr; 22(2): 395-404.)。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、当院に通院中のADPKD患者を対象に、全ゲノム遺伝子/エクソーム解析を行っている。目的として①遺伝性PKDの効率の良い、実臨床に使用可能な遺伝学的検査のスキームを確立する、②日本人PKD患者のデータベースを構築し、増悪に至る自然史など遺伝子変異情報を加味し、病態の把握に供する、③原因遺伝子不明の遺伝性PKD患者の新規原因遺伝子の探索を進める。対象疾患ならびに鑑別すべき疾患の既知原因遺伝子(PKD1, PKD2, PKHD1, TSC1, TSC2, PRKCSH, SEC63, LRP5, VHL, HNF1B, MUC1, UMOD, OFD1, GANAB)をターゲットとした生殖細胞系列変異のパネル遺伝子検査である。
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Research Products
(36 results)
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[Presentation] Predictive factors for pathological response in patients receiving neoadjuvant chemotherapy prior to radical cystectomy.2018
Author(s)
Ieda T, Muto S, Noma Y, Kanayama M, Koyasu H, Takahata S, China T, Kitamura K, Nagata M, Isotani S, Wakumoto Y, Horie S.
Organizer
16th Urological Association of Asia Congress 2018.
Int'l Joint Research
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