2019 Fiscal Year Research-status Report
腎癌幹細胞に癌周囲微小環境変化が与える影響の解析:新たな治療戦略の開発を目指して
Project/Area Number |
18K09170
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大庭 康司郎 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (20593825)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 保志 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (40404256)
宮田 康好 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (60380888)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 腎細胞癌 / 微小環境 / マクロファージ / リンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
(腎癌細胞培養)本研究において各種の腎癌のcell linesで培養を行っているところであるが、現時点では癌関連因子の発現確認はできていない。培養の条件設定に時間を要したことが要因と思われる。また、並行して収集した近年の報告に、癌微小環境において、癌周囲の間質細胞、fibroblast、リンパ球やマクロファージ等の浸潤細胞が重要な役割を担っているとの報告があり、特に浸潤細胞は癌の発育や血管新生などとの関連も示唆されている。腎癌においては、免疫チェックポイント阻害薬が導入されてから、癌とその微小環境および腫瘍免疫との関係性を理解する必要があると考える。細胞培養がなかなか進んでいない中で、上記の情報をもとに、各種リンパ球や血管新生やアポトーシスなどとの癌の悪性度などを検討したところ、NK細胞、マクロファージ、mast cellが腎癌の悪性度と関連していることが示唆された(Human Pathology, 79, 102-108)。 (動物実験)長崎大学の規定に沿った動物実験の申請を行った。現在、研究協力者らと共に、動物の購入・飼育を継続している。ただし、当初計画していた繁殖が十分には進んでいない。 (臨床検体、その他)本研究において “腎癌データベース”を作成可能な状況となったため、現在作成中である。これを一部用いて臨床研究を展開し、一部学会にて腎癌に対する分子標的治療や免疫チェックポイント阻害薬の治療関連の報告を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞培養に関しては、実験室内での場所の確保に加え、時間・マンパワーの問題もあり、一時的に中断の必要があった。しかしながら、この間に組織を用いた実験にて、予定していた内容から派生した研究が展開できている。 また、動物の飼育に関して、繁殖がうまくいかない部分もあるが、その間の成果をもとに新たな研究内容を検討しているところである。 臨床検体に関しては、倫理委員会を経てデータベースを作成中である。さらに作成したデータベースの内容から、予定していた内容以外にも新たな研究展開が期待できる状況になっている。また、組織検体の採取に関しては、院内で病理診断部門内の改変などがあり、一旦停止しているが、組織採取可能となった際に、研究再開できるようデータを整理しているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
細胞培養に関しては、癌細胞のアポトーシス、CD44の発現に加え、各種免疫細胞(リンパ球、マクロファージ等)などの発現を確認する予定である。 動物実験に関しては、まず飼育・繁殖を安定させ、腎癌細胞の接種および治療薬の投与を行う予定である。 臨床検体に関しては、新たな研究の展開を検討している。免疫チェックポイント阻害薬を使用する患者における治療予測を検討するべく、当院における臨床研究倫理委員会に追加申請を行い、新たな研究が可能な状況を作る予定である。すでにデータベースは作成可能であり、それをもとに検体採取を進め、治療予測因子の検討を行う予定である。
|