2020 Fiscal Year Research-status Report
腎癌幹細胞に癌周囲微小環境変化が与える影響の解析:新たな治療戦略の開発を目指して
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18K09170
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大庭 康司郎 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (20593825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 保志 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (40404256)
宮田 康好 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (60380888)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腎癌 / 腫瘍免疫 / 癌微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
(細胞培養)本研究において腎癌のcell linesで培養を行い癌関連因子の発現を確認しているところである。当初念頭にあったいくつかの因子の発現に関しては腎癌微小環境との関連性が希薄であった。さらに近年の報告および昨年までの我々の研究から、癌微小環境に関しては腫瘍免疫との関係性が重要と考え、他のマーカーの発現を調べている。また、我々の研究の中で、他癌腫において重要な働きが示唆された複数の因子について(Anticancer Res, 2020, p5567, Molecules 2020, p5252ほか)、腎癌との関連性を調べているところであり、腎癌細胞の培養と並行して新たに各種抗体の購入手続きを行っている。 (動物実験)長崎大学の規定に沿った動物実験の申請は完了している。現在、研究協力者らと共に、動物の購入・飼育を継続している。当初計画していた繁殖が十分には進んでいなかったが、現在安定して繁殖できる状況となっている。また、癌の発現に使用する腎癌細胞を準備しているところである。 (臨床検体、その他)本研究において “腎癌データベース”を作成可能な状況となったため、昨年に続き現在作成中であるが、まだ十分なサンプル数に至っていない。また、研究成果に関する会議を開催するのが難しい期間が長かったために、まだデータ解析の最中である。また、このデータの一部用いて臨床研究を展開し、一部学会にて腎癌に対する分子標的治療や免疫チェックポイント阻害薬の治療関連の報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腎癌細胞に関しては、当初計画していた因子の発現がはっきりとは確認できていない。この1年間は結果的に十分な結果が得られなかったが、この間に我々が行った他癌腫の実験にて、予定していた内容だけではなく別の因子が候補に挙がった。 また、動物の飼育に関して、安定した繁殖が見込める状況となってきている。 臨床検体に関しては、倫理委員会を経てデータベースを昨年から作成中である。さらに作成したデータベースの内容から、予定していた内容以外にも新たな研究展開が期待できる状況になっている。また、組織検体の採取に関しては、院内で病理診断部門内の改変後、改めて各種申請を行っており、研究再開にめどが立った状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
腎癌細胞における癌微小環境として、他癌腫でも確認された複数の因子の果たす役割を、培養細胞を用いて確認する予定である。また、癌免疫療法の治療効果と腫瘍免疫関連マーカーの発現との関連性についても確認する予定である。 動物実験に関しては、腎癌細胞の接種および治療薬の投与を行う予定である。また、我々が行っている別の研究において、サプリメントによる癌への影響が示唆される結果が得られた(Mol Clin Oncol. 2020)ので、追加実験を検討する。 臨床検体に関しては、免疫チェックポイント阻害薬を使用する患者における治療予測について、新たな研究を行う準備が整っている。すでにデータベースは作成中であり、引き続き検体採取を進め、治療予測因子の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定であった抗体や試薬が、一時的な物流の問題により遅延し、その間再検討を行った結果、実験の内容に変更が伴い、購入に至らなかったため。さらに、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、出張会議などが中止となったため次年度使用額が生じた。次年度では練りなおした実験に必要な抗体を購入予定である。また中止となった会議も今後は開催予定であり、その旅費に当てる予定である。
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