2019 Fiscal Year Research-status Report
尿中マイクロバイオーム解析による下部尿路症状の病態解明と治療ターゲットの探索
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18K09172
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
相川 健 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (80295419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 祥敬 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60305539)
石橋 啓 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (90347211)
秦 淳也 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00769606)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 下部尿路症状 / 尿中細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
下部尿路症状を訴える患者は加齢と共に増加し、超高齢社会をむかえ重要な問題となっている。下部尿路症状の治療薬はあるが、作用機序は限られており、効果は不十分で解決すべき課題である。私たちは新しい治療を見出すため、動脈硬化、ホルモン低下、尿道部分閉塞モデルの膀胱機能障害がどのような薬剤で改善するか報告してきた。近年、腸管を中心に細菌叢の研究がすすめれ多くの疾患に関与する新しい知見が得られてきている。今回我々は尿が無菌でないことに着目し、次世代シークエンサー・尿培養を使いヒト尿中細菌叢を同定し下部尿路症状、下部尿路機能障害との関係性について検討した。60歳以上の男性を対象とし、 下部尿路症状(LUTS)を有する男性群(male LUTS群)とLUTSを有さない男性群(非male LUTS群)に分け、それぞれの尿中細菌叢を同定して比較した。その結果、尿沈渣では尿路感染症を疑う所見がないにもかかわらず尿培養が陽性となった男性下部尿路症状患者(尿培養陽性患者)では、IPSS 第7項目、OABSS第2項目がともに有意に高値を示した(IPSS 第7項目:P=0.027、OABSS 第2項目:P=0.014)。これらの項目はいずれも夜間排尿回数に関する質問項目であり、潜在性に尿培養陽性である患者は、夜間排尿回数が多いと考えらえた。さらに、次世代シークエンサーによって評価した尿中細菌叢を標的とした新規治療薬開発に向け、細菌叢とこれまで使用されてきた下部尿路症状治療薬の効果との関連性についても検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
尿路感染症を発症していないが尿培養が陽性となる男性下部尿路症状患者の存在を同定することができた。そして、そのような患者では下部尿路症状の悪化、特に夜間頻尿が出現することを発見することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シークエンサーによって評価した尿中細菌叢を標的とした新規治療薬開発に向け、細菌叢とこれまで使用されてきた下部尿路症状治療薬の効果との関連性についても検討していく。
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Causes of Carryover |
今後は尿中細菌叢を次世代シークエンサー等を用いて精密に評価し、その結果と下部尿路症状の関連性について評価する。その評価から下部尿路症状に対する新規治療戦略・新規治療薬の開発に向けた研究を続けていく必要がある。
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