2020 Fiscal Year Research-status Report
ドラッグ・リポジショニングを用いた、膀胱癌に対する新規膀胱内注入療法
Project/Area Number |
18K09179
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松本 一宏 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80366153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 栄次 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10286552)
小坂 威雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30445407)
武田 利和 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (10383829)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / PDE5阻害薬 / Tadalafil / Mitomycin C |
Outline of Annual Research Achievements |
筋層非浸潤性膀胱癌においてスタンダードな抗癌剤膀胱内注入療法とTadalafilを組み合わせることにより、より強力な抗腫瘍効果を発揮し実臨床への橋渡しとすることを本研究の目的としている。 通常臨床で用いる内服時の血清濃度と同等のTadalafilおよび膀胱内注入時と同等の濃度のMitomycin Cを癌細胞株へ添加して、それら相乗効果をin vitroにて確認した。なおMitomycin Cの添加時間は実臨床同様の2時間とした。膀胱癌細胞株3種(T24、5637、UMUC-3)とマウス膀胱癌細胞株1種(MBT2)すべておいて相乗効果を認めた。 Mitomycin CとTadalafil 併用群において特にPDE5活性の低下を認め、それに伴いcGMP濃度の上昇を確認した。またMitomycin CおよびTadalafil投与それぞれにより、SOD活性および酸化型/還元型グルタチオン比が大きく変動していた。Tadalafil投与により過酸化水素消去活性を有するカタラーゼが増加し、Mytomycin C投与にて上昇する酸化ストレス代謝物マロンジアルデヒド濃度が、Tadalafil投与により抑制された。これら様々な酸化ストレスマーカーが変動していることより、酸化ストレスが抗腫瘍効果に関与している可能性が示唆された。 マウス膀胱癌同所性モデルにて、Day30に膀胱を摘出し腫瘍サイズを確認した。Mitomycin CとTadalafilとを併用することにより、膀胱腫瘍サイズの低下を認めた。また併用群ではMitomycin C投与単独群に比べ、膀胱容量が維持されている(つまり膀胱萎縮がおこっていない)傾向を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗癌剤膀胱内注入とTadalafilとの併用療法の統計学的有意差が見られなかったため、条件設定を変えて実験を繰り返す必要があった。 新型コロナの影響により、動物実験を施行できない期間が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス膀胱癌同所性モデルを用いた、抗癌剤膀胱内注入とTadalafilとの併用療法の抗腫瘍効果を確認しているが、統計学的有意差を認めるほどの差異を認めていない。 一方で、抗癌剤膀胱内注入によって生じる膀胱萎縮の予防効果をTadalafilが有していることが明らかとなってきている。マウス摘出検体を用い、浸潤している炎症性細胞の種類、線維化の程度を免疫組織染色にて行い、膀胱萎縮予防効果のメカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響により、動物実験を施行できない期間が生じたため。
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