2018 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌の骨転移における lncRNA の機能解明と新規治療法開発の基盤形成
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18K09181
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
三沢 彩 日本医科大学, 医学部, 講師 (20598453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧澤 俊広 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (90271220)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ncRNA / lncRNA / 骨転移 / 前立腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌は進行する原発巣から他の臓器に転移し、骨に転移した場合転移性骨腫瘍を形成する。本研究では骨に最も転移しやすい癌の一つである前立腺癌において、骨転移に関与する長鎖非コード RNA (lncRNA) の同定と機能解析を行い、骨転移機構の一端を明らかにした。 骨転移した前立腺癌から樹立した細胞株 (VCaP) とリンパ節転移した細胞株 (LNCaP) のRNA シークエンスデータより、 VCaP 特異的に過剰発現している lncRNA を同定した。これらのうち、 HOX-AS lncRNA に焦点を当て解析を行った。HOX-AS は、骨転移した前立腺癌細胞株 PC-3 細胞でも高発現が確認された。 HOX-AS の上流で働く因子を調べた結果、特に前立腺癌で発現が高い転写因子 TF-Y を同定した。TF-Y はプロモーターを介して HOX-AS を制御していることを luciferase Assay より検証した。siRNA で HOX-AS または TF-Y を knockdown して Invasion Assay を行った結果、siNC トランスフェクション細胞と比較して癌の浸潤が抑制された。一方、HOX-AS を過剰発現した際、逆の傾向が認められた。定量的 RT-PCR 解析より、 HOX-AS または TF-Yの抑制に伴い Cadherin や MMP 等、転移に関わる遺伝子の発現が変動することを確認した。RNA シークエンスデータより VCaP 細胞で BP-X が高発現していることを見出し、HOX-AS 及び TF-Y がプロモーター領域を介してこの遺伝子の発現を促進していることを luciferase Assay より検証した。マイクロアレイ解析より、HOX-AS, TF-Y, BP-X の上流と下流で働く遺伝子を同定し、これらが癌転移に関連する共通するパスウエイで働くことを明らかにした。従って、HOX-AS 及び TF-Y は BP-X と癌転移に関与する他の遺伝子を介して浸潤を促進することが示唆された。 今後は動物実験で骨転移におけるこれらの遺伝子の作用機序の明らかにし、組織学的な解析を行っていく方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
仮説に基づくデータが得られ、実験は順調に進んでいる。学会に参加して口頭発表を行い、情報収集と情報発信を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitro と in silico で得られた結果をもとに in vivo 実験を計画している。また、臨床サンプルが入手できた場合、患者さんでの遺伝子の発現量を検証していく方針である。
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Causes of Carryover |
前立腺癌の骨転移に関与する長鎖非コードRNA (lncRNA) の同定を行う際、細胞株を用いた公開されているデータを活用することができたため、新たに RNA シークエンス解析を行う必要がなくなった。このデータの信憑性は実際に細胞株を用いて定量的 PCR 法で確認した。 RNA 精製キット、siRNA トランスフェクション試薬、その他一部の消耗品は、これまで行った研究で用いたものが残っていたため、物品費用を節約することができた。
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Research Products
(2 results)