2018 Fiscal Year Research-status Report
進行性尿路がんに対する次世代個別化がんペプチドワクチン療法の開発
Project/Area Number |
18K09182
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
末金 茂高 久留米大学, 医学部, 准教授 (40235833)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 恭悟 久留米大学, 付置研究所, 教授 (50125499)
井川 掌 久留米大学, 医学部, 教授 (40295069)
植田 浩介 久留米大学, 医学部, 助教 (60569440)
西原 聖顕 久留米大学, 医学部, 助教 (90389297)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | がん免疫療法 / がんペプチドワクチン / 尿路上皮がん / 複合療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行性尿路上皮がん(Urothelial carcinoma、UC)患者に対する個別化ペプチドワクチン療法の新規治療戦略の確立が目的である。尿路上皮がん(腎盂・尿管・膀胱がん)は、手術、抗がん剤、放射線療法などの標準治療が抵抗性になると極めて予後不良である。現在、抗がん剤治療抵抗性後にがん免疫療法であるPD-1抗体薬(ペムプロリズマブ)が使用できるが、満足のいく治療成績ではなく新規治療法の開発が求められている。われわれは、以前よりMHC(Major Histocompatibility Complex)クラスⅠ拘束性ペプチドワクチン開発に着手し、HLA(Human Leukocyte Antigen)-A24、-A2、-A3supertype、-A26拘束性ペプチド27種類を用い、最大4種類を投与する個別化がんペプチドワクチン(Personalized peptide vaccine、PPV)の臨床試験を行い、その安全性及び有用性について検証してきた。これまで144名の尿路がん患者の臨床試験データを詳細に解析し、より臨床効果を高め、あるいは有用なバイオマーカーを明らかにし、PPVがUC患者の新規治療戦略として確立するために検証する。 UC患者に対するPPVにおける各ペプチドのOS改善への寄与度の解析として、これまでにUC患者144名に対してPPVの第Ⅱ相臨床試験を実施しているが、その中の111名を対象として投与したペプチドがOSに対する寄与度を、各HLA-A24、-A2、-A3supertype、-A26ごとに31種類のペプチドすべてに関して解析し、予後延長に寄与するペプチドをHLAタイプ毎に解析し報告した。さらには、UC患者に対するPPVのバイオマーカー検索、および有用ながん免疫複合療法としての有用な併用療法の探索を目的としている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
UC患者に対するPPVにおける各ペプチドのOS改善への寄与度の解析として、これまでにUC患者144名に対してPPVの第Ⅱ相臨床試験を実施しているが、その中の111名を対象として投与したペプチドがOSに対する貢献度を、各HLA-A24、-A2、-A3supertype、-A26毎に31種類のペプチドすべてに関して解析し、予後延長に寄与するペプチドをHLAタイプ毎に解析し報告した。(Noguchi, M., N. Koga, F. Moriya, S. Suekane, S. Yutani, A. Yamada, S. Shichijo, T. Kakuma, K. Itoh: Survival analysis of multiple peptide vaccination for the selection of correlated peptides in urological cancers. Cancer Sci, 109, 2660-2669, 2018.)
|
Strategy for Future Research Activity |
1)次世代PPVの安全性の確認:次世代PPV投与によるペプチド特異抗体の変動を検討する単群からなる第Ⅱ相臨床試験を完遂する予定であったが、久留米大学がんワクチンセンターの新規登録患者の受け入れができなくなったために新規患者登録不可となった。 2)PPVのバイオマーカーの検索:これまでPPVを受けたUC患者を対象として、PPV特異的なバイオマーカーを探索する。遠隔転移のない尿路上がん患者でPPV前に抗がん剤を受けていないPPV施行患者群、PPV前に抗がん剤を受けたPPV施行患者群、さらには遠隔転移がある尿路上皮がん患者で抗がん剤治療後にPPV施行患者群の3群でのPPV投与前後の各種サイトカインの変動を検討する。 3)PPVと併用療法との意義の解析:PPV単独では十分な抗腫瘍効果が得られないことが、今までの我々の研究にて明らかになっており、抗がん剤や放射線療法、また分子標的治療薬などの併用療法の有用性を検証し、新たながん複合免疫療法を開発する。
|
Causes of Carryover |
研究が予定より早く進み物品購入費が予定額より多くなったので、本年度後期に次年度分を前倒し支払い請求していたが、その前倒し分を使用することなく、次世代型複合がん免疫療法確立のためにこれまでに得られた知見を解析し、英語論文化のために英文校正し、国内外の学会で発表する予定である。
|