2019 Fiscal Year Research-status Report
メタボリック症候群を病理基盤とした過活動膀胱の病態解明と早期診断法の開発
Project/Area Number |
18K09186
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐竹 洋平 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (70783984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川守田 直樹 東北大学, 大学病院, 助教 (00617524)
山下 慎一 東北大学, 大学病院, 講師 (10622425)
荒井 陽一 東北大学, 医学系研究科, 名誉教授 (50193058)
泉 秀明 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (80722545)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 過活動膀胱 / メタボリック症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
メタボリック症候群から続く生活習慣病が放置されると、心筋梗塞、腎不全、脳血管障害等の致死的疾患がドミノ式に引き起こされる。そのため早期介入により、致死的疾患を予防し健康寿病を延ばし、膨大な医療費を削減することが喫緊の課題になっている。 近年、急激な強い尿意を突然催し尿失禁を伴うこともある、過活動膀胱は骨盤の微小血管血流障害が一因であることが解明された。骨盤内の血流障害と高脂肪食により過活動膀胱を引き起こすラットの病態モデルの確立と、そのモデルを用いた研究により、膀胱の血流障害により引き起こされる酸化ストレスが膀胱機能障害の病因であり、マーカーの研究も進んでいる。本研究では、過活動膀胱モデルを用い、尿中のバイオマーカーを探求するとともに、食餌の改善が膀胱機能障害に与える影響について検証する計画である。 今年度は、膀胱虚血ラットを作成、偽手術モデルと比較した。比較方法として、膀胱内圧測定と排尿間隔測定(生理学的検討)を行い、膀胱虚血ラットにおいて排尿間隔の短縮化(頻尿)が認められた。さらに、膀胱血流測定により、病態モデルでは血流の低下を認めた。また、心筋梗塞モデルでの、虚血改善効果の報告がある、低出力衝撃波を膀胱に充てたところ、血流の改善と、頻尿の改善を認めた。この結果を踏まえ、次年度では、正常食に戻す、食餌介入による、膀胱機能の改善効果と、病態の重症度を測る尿中バイオマーカーの同定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までに病態モデルの作成を確立した。また、治療介入において、まず、他分野で報告のある、低出力衝撃波による介入を行い、膀胱機能障害が生理学的検討において改善したことを確認した。さらには膀胱血流における改善効果を認めたことにより、研究はまずまず順調に推移していると考える。 一方、食餌介入による治療効果は、今年度に予定しているが、コントロールモデルのみならす、低出力衝撃波による病態改善モデルの比較対象があるため、今後の研究は比較的順調に進むと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度が病態モデルの確立に難渋したが、安定的に病態モデルを作成することが可能となり、低出力衝撃波による治療介入で、病態の改善を、生理学的にまた、膀胱血流の面から確認した。 今年度は、治療介入を通常食に戻す食餌介入についても行い、評価を行うことを予定している。さらには、膀胱組織、尿中の遺伝子、タンパク、代謝物の分子生物学的検討により病態の重症度を測るバイオマーカーを同定する。 食餌介入は、低出力衝撃波治療と比較して、介入の強度は低いと想定されるが、低出力衝撃波モデルと、コントロールと3群で比較することにより、バイオマーカー候補の絞り込みがしやすくなると考えている。
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Causes of Carryover |
初年度に病態モデル確立のために時間を要し、今年度に助成金を一部持ち越していた。今年度は、病態モデルの確立と、低出力衝撃波による治療介入モデルにおいて膀胱機能障害の治療効果、膀胱血流の改善効果等の重要な知見を得た。一方、バイオマーカーの探索については、qPCR法を中心にターゲットの絞り込みを開始しているところである。 最終年度の次年度では、食餌改善による治療介入効果の評価と、分子生物学的検討を主に行い、バイオマーカーの探索を中心に研究予定であり、解析のための測定キットや消耗品に使用する計画である。
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