2018 Fiscal Year Research-status Report
尿エクソソームを利用した尿路感染症診断法の開発と感染メカニズムの解明
Project/Area Number |
18K09190
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
水谷 晃輔 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (80397356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 泰典 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30515888)
堀江 憲吾 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (50509776)
仲野 正博 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (60334926) [Withdrawn]
伊藤 雅史 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (80393114)
川上 恭司郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90589227)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エクソソーム / 尿路感染症 / 無症候性細菌尿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は尿路感染症における尿エクソソームのマーカーとしての有用性や生体反応の解明手段としての有用性の検証である。本年度に実施した研究では以下の成果を得た。 尿路感染症において細菌や細胞外毒素であるLipopolysaccharide(LPS)と直接反応する尿路上皮細胞と単球系細胞のモデルとしてそれぞれSV-HUC-1とTHP-1を使用し、大腸菌とLPSとの共培養を行い、細胞から分泌されるエクソソーム内で増加するシグナル因子(protein kinase B:Akt、Extracellular Signal-regulated Kinase:ERK)と転写因子(nuclear factor-kappa B:NF-kB)を見出した。さらにこれらの発現はLPSよりも大腸菌との共培養で顕著であることを確認した。ついで、実際にこれらの因子のヒト尿中エクソソーム内での発現を検討するために、密度勾配遠心法を用いて尿路感染症患者の尿から精製したエクソソームの解析をおこなったところ、これらの因子がエクソソーム内にあることが確認できた。その中で発現量からAktの測定が最も信頼性が高いと考え、尿路感染症の治療前後で尿中エクソソーム内におけるAktの発現比較を行ったところ、治療後にその発現が低下することが確認でき、尿路感染症のマーカーになり得る可能性を見出した。この結果を元に、尿エクソソーム内のAktの発現が無症候性細菌尿と尿路感染症患者における診断マーカーになりうるかを検討するため、immuno-capture法を用いて尿エクソソームを単離し、AktとエクソソームマーカーであるCD9の発現を検討したところ、尿路感染患者においてはそれらの発現が有意に上昇しており、無症候性細菌尿との鑑別のためのマーカーになる可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は①尿エクソソームの簡便な精製法、②精度の高い測定法の樹立、③マーカーとしての有用性の検討であった。 ①に関してはimmuno-capture法による尿エクソソームの精製が、超遠心法や密度勾配遠心法よりも簡便でありかつポリマー沈殿法よりも精製度が高く、尿エクソソームの様々な解析に有用であることを確認した。 ②に関してはimmuno-capture法で精製した尿エクソソーム中のタンパクをCLEIA法やELISA法で測定する方法を確立し、精度が高く定量性があるため診断マーカーや今後の解析に適していることを確認した。 ③に関しては前述の①と②の方法を用いて、尿路感染症患者においてエクソソーム内のAktが治療後で低下することを見出し、さらに複数の検体を使用して尿中エクソソームのAktやCD9の発現が無症候性細菌尿と尿路感染症との鑑別のためのマーカーになり得ることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で得られた知見をもとに、臨床への応用を目指してさらに簡便になる方法を探索する。具体的には、エクソソームをカラムで精製し、イムノクロマト法と組み合わせることによって、15から20分以内で結果が得られるような系を構築することを目標とする。 さらに本研究のもう一つの目的である、尿エクソソームを用いた尿路感染症における生体反応の解析を行うため、immuno-capture法で精製したエクソソームのプロテオーム解析を行う。具体的には大腸菌感染やLPS刺激により尿路上皮細胞(SV-HUC-1)と単球系細胞(THP-1)から放出されるエクソソームおよび尿路感染症患者の尿エクソソームのプロテオーム解析を行う。両者のプロテオーム解析結果を比較し、尿路感染症患者の尿エクソソームで有意に発現変化を示すタンパクを同定し、ネットワーク解析等を行う。これらの方法により、新たな尿路感染症のマーカーを同定するとともに、尿路感染症における生体反応、感染症成立のメカニズムを明らかにする。
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[Journal Article] Urinary exosome as a potential biomarker for urinary tract infection2019
Author(s)
Kosuke Mizutani, Kyojiro Kawakami, Kengo Horie, Yasunori Fujita, Koji Kameyama, Taku Kato, Keita Nakane, Tomohiro Tsuchiya, Mitsuru Yasuda, Koichi Masunaga, Yutaka Kasuya, Yoshishige Masuda, Takashi Deguchi, Takuya Koie and Masafumi Ito
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Journal Title
Cellular microbiology
Volume: 21
Pages: e13020
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Akt and CD9 in urine exosomes as potential markers for urinary tract infection2019
Author(s)
Kosuke Mizutani, Kyojiro Kawakami, Kengo Horie, Yasunori Fujita, Koji Kameyama, Taku Kato, Keita Nakane, Tomohiro Tsuchiya, Mitsuru Yasuda, Koichi Masunaga, Yutaka Kasuya, Yoshishige Masuda, Takashi Deguchi, Takuya Koie and Masafumi Ito
Organizer
Annual meeting international society for extracellular vesicles 2019
Int'l Joint Research