2018 Fiscal Year Research-status Report
高分子ナノミセルに搭載した癌抑制マイクロRNAによる膀胱癌の新規核酸医薬の開発
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18K09198
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山田 保俊 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (40437968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎田 英樹 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (80347103)
吉野 裕史 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (90642611)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 核酸医薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は二つあり、一つはRNAseで分解されやすいmiRNAを体内で如何に安定させるかであり、もう一つは体内でmiRNAを腫瘍まで効率よく運搬するドラッグデリバリーシステム(DDS)の確立である。前者は一本鎖であるmiRNAの3末側約10塩基をDNAに置換したキメラmiRNAを合成し、さらにこれを2重鎖とすることで従来のmiRNAと比べて遥かに安定した体内動態を確立できた。またアンチセンス鎖はDNAに置き換わっているために、オフターゲット効果を抑制できる利点もある。これをunit polyion complexes (u-PIC)とキメラmiRNAを調整し、その内部にキメラmiRNAを効率よく包有できるナノミセル型DDSを確立した。 そこで、今回はまずin vivo実験のための至適条件を探るためのin vitro実験を行った。これまでのin vitro実験で著名な抗腫瘍効果があった4種類のmiRNA (miR-1, miR-133a, miR-145, miR-218)の配列をキメラ型2重鎖miRNAとして人工合成した。uPICと調整して40nMの濃度で培養細胞に添加したところ、各miRNAの細胞内濃度は投与前に比べて100倍以上に上昇することが観察された。細胞内濃度のターンオーバーは早く、投与6時間後にはほぼゼロとなった。次にmiR-218細胞内導入によるCAV2ノックダウン効果をリアルタイムPCR法で検討したところ、細胞株によってややばらつきはあるが20~50%のノックダウン効果を得た。Magic Red解析によるアポトーシス実験ではmiR-218を100nM濃度で投与すると、確実にアポトーシスが誘導された。今回の一連の研究により、uPICはキメラ型2重鎖miRNAを内包することが可能であり、膀胱癌培養細胞に効率よく取り込まれて抗腫瘍効果を発揮することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitroにおける至適実験条件の確立のために時間を要し、in vivo実験の開始が遅れているが、本年度、開始可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、実験条件の確立に邁進して、研究を推進する。DDSにおける問題点については連携研究者である川崎市産業振興財団 ナノ医療イノベーションセンター兼東京大学バイオマテリアル工学専攻の片岡一則教授に相談しながら進めている。
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