2019 Fiscal Year Research-status Report
膀胱癌関連蛋白質の検出および予後予測因子の確立と診断・治療アルゴリズムの開発
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18K09206
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
松本 和将 北里大学, 医学部, 准教授 (70306603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩村 正嗣 北里大学, 医学部, 教授 (20176564)
佐藤 雄一 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (30178793)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / 尿路上皮癌 / 腫瘍マーカー / 蛋白質 / 自己抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究における目的は、各々の同定蛋白について多数例の膀胱癌患者血清を用いて、早期血清診断、予後予見因子としての有用性を検討する。また、膀胱癌における様々な蛋白・抗体の発現、化学療法の治療効果に関与する可能性のある蛋白質の動態と臨床病理学的所見・予後を比較検討し、臨床への応用を検討する。 今年度は、electorical nose (eNose)を使用し、収集した尿検体を用いて尿から発せられる臭気について検討した。対照は膀胱癌、尿路感染症、尿路結石、健常者とした。アンモニアや硫化水素に差は認められなかった。また、尿臭気の強さは尿路感染症で最も強かった。一方、機器で測定される重分子と軽分子の割合を比較した場合、膀胱癌特異的な臭気を検出することができた。分子の特定はできなかったが、臭気でも腫瘍マーカーとなる可能性を示すことができた。 腫瘍関連蛋白質については、数種類の新規蛋白質を同定することができた。今後、病理組織のおける発現、臨床病理学的因子および予後と発現様式について比較検討する。 臨床的な因子についても検討を行ない、尿路上皮癌以外の病理因子と予後について、上部尿路癌、膀胱癌で検討した。扁平上皮癌、腺癌や肉腫様変化等のhistologic variantが腫瘍中に存在する場合、予後が極めて悪いことを見出し報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規検出蛋白質について、膀胱癌組織、血液・尿検体を用いて反応性について解析を継続して行っている。本検討にて検出された数種類の蛋白質について、臨床病理学的所見と比較検討し、臨床的有用性を検討している。また、尿検体を用いてelectronic noseを用いて膀胱癌検出の検討も行った。翌年度も引き続き検討を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年に引き続き、獲得済みの膀胱癌特異的抗体、自己抗体が認識する蛋白質に対して、収集済みの多数例膀胱癌患者血清・腫瘍組織との反応性をスクリーニングし早期診断、予後予測マーカーの獲得を目指す。 また、化学療法の治療効果との相関性を検討するため、シスプラチン耐性膀胱癌細胞株より見出した蛋白質を用いて検討する。 さらに、非腫瘍性患者血清、健常人血清中の自己抗体との反応性から、有用な診断法(単独抗体または複数抗体を組み合わせた方法)をさらに検討する。 獲得済みのプローブと多数例の患者血清、臨床情報が揃っているので、研究期間終了時までにはさらに癌特異的マーカーを見出していく。
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Causes of Carryover |
今年度は、尿検体を用いた臭気の検討および腫瘍マーカーの探索で用いた蛋白質を主に病理組織を用いた免疫染色での検討に費やした。尿臭気の検討についての物品は消耗品を多く使用した。また、蛋白質と臨床病理学的所見の比較検討も行ってきたが、今年度は主として、膀胱癌関連蛋白質の同定に費やした。その結果、数種類の新規蛋白質を見出すことができた。次年度は、新規蛋白質に関して病理標本を用いた免疫染色や血清、尿検体を用いた蛋白質の動態を検討する予定である。また、引き続き新規蛋白質の同定は継続して行っていく予定でもある。具体的には、蛋白質合成、二次元電気泳動および免疫プロット・ドットプロットを用いた研究を実施予定としている。以上検討を遂行するため、本年度残余分と次年度で計上した予算を使用予定である。
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