2019 Fiscal Year Research-status Report
膀胱尿管逆流に対するカラードプラ法超音波検査を用いた新たな非侵襲的診断法の確立
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18K09207
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浅沼 宏 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (70245570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00213885)
篠島 利明 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (60306777)
水野 隆一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60383824)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膀胱尿管逆流 / 逆流性腎症 / カラードプラ法超音波検査 / 非侵襲的診断法 / 小児泌尿器疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、健常者ボランティア、尿路感染症(UTI)患者、腎盂尿管拡張を有する患者を対象にした臨床研究によって膀胱尿管逆流 (VUR)および逆流性腎症(RN)の診断において、カラードプラ法超音波検査による尿管口jetの方向と尿管口間隆起のなす角度(UJA)測定の有用性を検討すること、および、動物を用いた基礎研究による病理組織学的検討からその妥当性を検証することを目的とした。このうち、2019年度は以下の研究について成果を得 た。 1) UJA測定の再現性、UJA値に影響する因子の検討:5名の男性健常者ボランティアを被験者とし、検者3名にてUJA値を測定した。各被験者において膀胱容量、利尿状態によるUJA値に有意差がない結果を得た。 2) 既知の患者データを用いた後方視的検討:a) UTI患者を対象に、UJA値、排尿時膀胱尿道造影検査(VCUG)によるVURの有無とgrade(G)、DMSA腎シンチグラムによるRNの有無とgradeを評価した。自然消失の困難なG-III以上のVURと高度な腎瘢痕を検出できるUJAの至適なcut-off値を算出した。UTIの初期診断においてUJA 測定をスクリーニング検査とした場合にVCUGをどの程度回避できるかを検討した。125症例250尿管を対象とした結果、UJAを用いたG-III以上のVUR検出において ROC曲線下面積は0.81であった。腎瘢痕が高度なほどUJAが高角度で、多発瘢痕またはsmall kidneyの全腎でUJAは50°以上であった。UTI患者でUJA50°以上で VCUGを行う方針とすると、VCUGが51.1%の症例で回避できる結果となった。 b) 腎盂尿管拡張患者を対象にUJA値を測定した。尿管膀胱移行部閉塞による巨大尿管症に比べ、VURではUJA値が高値であり、巨大尿管症とVURの鑑別診断への有用性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1) 健常者ボランティアを被験者としたUJA値測定の研究計画において、女性被験者がまだ得られておらず、現在男性被験者のみの結果となっており、性別のUJA 値に与える影響が検討できていない。 2) 後方視的臨床研究のうち、UTI患者および腎盂尿管拡張患者の観察期間がまだ短く、UJA値と長期予後の検討ができていない。 3) 前方視的臨床研究においては、まだ十分な患者エントリーができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
女性健常者ボランティアを募り、性別によるUJA値への影響を検証する。 臨床研究については、UTI患者、腎盂尿管拡張患者の経過観察を継続し、UJA値と長期予後の関連性について検討する。 前方視的に患者をさらに集積し、UJA値とVCUG grade、RNとの関連性、VUR診断への至適cut-off値、閉塞性尿路疾患との鑑別診断について評価す る。 ヒト同様に尿管芽の発生異常から高頻度にVURを有するC3H/HeJ系またはC3H/HeN系マウスを用いて、UJA値、VUR grade、尿管膀胱移行部の解剖学的所見、腎の 低・異形成と線維化について病理組織学的に検討する。
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Causes of Carryover |
2019年度は、女性健常者ボランティアが募集できず謝金が発生しなかったため「次年度使用額」が生じた。。2020年度に実施予定である。 2019年度は、動物実験による基礎研究が予備的段階となったため、マウスや実験機材の購入が少なく「次年度使用額」が生じた。2020年度ではさらなる動物実験を行い、掛かる費用は使用予定である。
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